2015年6月30日火曜日

ギリシャ債務に関するEU市民の嘆願書とQ&A

 市民運動によって呼びかけられている嘆願書がありましたので、紹介します。嘆願の主体は「ヨーロッパの市民」となっていますが、署名者についての選択肢としてはヨーロッパ外の国も選べるようになっています。


嘆願書(Break the chains of Greece’s debt!)
私たちヨーロッパ諸国の市民は、以下のことを呼びかけます。
・ギリシャや、他の必要とする国々に対して、監査によって情報提供され、緊急融資によって利益を得た銀行や投資家から償還させた資金によって行われる債務帳消しを行うための欧州会議を開催すること。
・ヨーロッパおよび世界に対して不正義と貧困を押し付ける緊縮政策の強制を終わらせること。
・政府債務危機を迅速かつ公正に、人権を尊重した形で対応するための、また銀行や金融機関に対して我々がもはや向こう見ずな融資を保証しないというサインを出すための、国連のルールを制定すること。


ギリシャ債務に関するQ&A[原文]
Q: ギリシャの債務っていくらぐらい?
A: ギリシャ緊急援助プログラムは、ギリシャの債務が3100億ユーロ(GDPの133%)に達した 2010年に開始されました。今日、ギリシャ政府は未だに3170億ユーロの負債を負っており、その78%がトロイカとして知られるIMF、欧州連合および欧州中央銀行に対するものです。
Q: 緊急融資でなにが起こってきたの?
A: 緊急融資は第一にはヨーロッパの金融セクターのためのものです。融資額の10%がギリシャの人々の手に渡り、のこりの90%の緊急融資された借金は、ギリシャ政府に対して過剰な貸付を行った金融セクター、つまり欧州各国の銀行、ヘッヂファンド、年金ファンド、その他の投資家などの手に渡ります。

Q: 緊急融資の条件とギリシャ債務危機へのインパクトは?
A: 緊急融資の代わりにギリシャに押し付けられた緊縮政策と進行中の債務危機は、ギリシャの経済と社会に破壊的な影響を与えています。緊縮政策によって、公的セクターの給与や仕事、年金や医療サービスのような公的サービスは大規模な削減を強いられています。数百万人のギリシャ人が、危機のために貧困に陥り、連帯のネットワークが彼らの基本的ニーズに対応しています。ギリシャの失業率は25%を超え、特に若者の3人に2人は失業中です。

Q: ギリシャ債務の真実委員会って何?
A: ギリシャ国会議長ゾエ・コンスタントポウロウはギリシャ債務の真実委員会を立ち上げました。委員会は、世界各国からの債務の専門家を含み、どの程度の債務が実際に合法で、正統で、かつ持続可能か監査を行います。

Q: 欧州債務会議が開かれたことはあるの?
A: 提案されている債務会議は、1953年にドイツの債務を帳消しにすることを合意した「ロンドン会議」を基にしています。1953年の会議は、ドイツが外国の政府、個人や機関に対して負っていた債務の50%を帳消しにし、残りの債務の支払いに関しても、ドイツの収支の改善を条件にしたものに変更されました。ギリシャは、この債務帳消しに参加した国の一つでもあります。

Q: 債務危機って一般的なの?
A: 1970年代に各国政府がグローバル金融システムに関する管理ルールを緩和して以来、債務危機の回数は劇的に増加しました。1941年から1970年まで、6回の政府によるデフォルトがあったのに対して、1971年から2004年まで、129回のデフォルトが発生しています。
 1980年代、90年代の債務危機とIMFと世界銀行による緊急融資の代わりに押し付けられた緊縮政策は、第三世界(グローバル・サウス)に「開発の失われた10(ないし20)年」をもたらしました。1980年から90年の間に、貧困状態の人々はラテンアメリカで1億4400万人から2億1100万人に上昇しました。アフリカでは、「極端な貧困」(1日あたり1.25ドル以下で暮らす人々)の数が1981年の2億500万人から、1993年の3億3000万人に増加しました。

Q: 債務帳消しは機能するの?
A: グローバル・キャンペーンを受けて、サブサハラ・アフリカの諸国を中心としたHIPCs(重債務貧困国) 向けの債務帳消しプログラムで、36カ国の1300億ドルの債務が帳消しされました。これによって、毎年数十億ドルが節約でき、数え切れない数の人々に教育や医療が提供されるようになりました。しかし、債務支援を必要とする全ての国がこの、債権者がデザインした、極めて複雑な条件を伴うHIPCイニシアティヴの恩恵を受けているわけではありません。これが、私たちが債務危機を迅速かつ公正に扱える、新しい国連のルールを必要だと考える理由です。こういったルールを制定する国連の委員会は2015年初頭に設置されましたが、欧州連合とアメリカ合衆国は参加をボイコットし続けています。
[Resources]
The Greek Debt Truth Commission
6 Points about Greece’s Debt
Call from Greek movements for European mobilization
UN Debt Committee