ジャン・ジオノの小説『木を植えた男』は、荒野で植樹を続けるエルゼアール・ブフィエという男の話で、ジオノがはっきりさせなかったため当初はノンフィクションだと思われていたが、実はブフィエは実在せず、すべてはジオノによる創作であった。
しかし、インドのケララ州に住むアブドゥル・カリーム(66歳)は、まるで本当にブフィエがいたかのような人物である。
カリムはカヴと呼ばれるケララの聖なる森に子どもの頃から親しんでいた。彼は、妻の住む村に通ううちに、その途中の丘陵がひどく荒れ果てていることが気になり始めた。1977年に、荒れ果てた5エーカーの土地を3750ルピーで購入した。土地には、ほぼ枯れかけた井戸以外なにもなかった。近隣の人々や家族は彼の意図が理解できず、笑い者にする人もいた。土地には水がなかったため、カリムは自転車に水を積んで、自分の土地に運ぶことから始めた。三年、水を運び続けると、自然は彼の努力に答え、木々が広がり始めた。
鳥たちもやってくるようになり、彼の森に種をもたらした。森が十分に広がると、カリムはさらに27エーカーを買い足し、木を植えた。
重要なことは、一度森の発達が始まると、カリムはいっさいなにもしようとしないということである。
森ができた結果、枯れた井戸に水がもどったばかりか、10キロ遠方まで地下水位の上昇が観察された。
カリムは今では森に住んでいる。料金を払って森に泊めてもらうこともできるが、それはカリムの定めた厳しいルール(プラスチックはダメ、車もダメ、パーティも大きな音を立てることもダメ)を守れる場合だけである。
カリムの元には、森をテーマパークにしようといった提案がしばしば届くが、彼はそれらを断っている。カリムは数々の賞に輝いた。かつては笑い者だった人物が、今や人々の賞賛を集めている。
[Source] TBI Heroes: Abdul Kareem – The Man Who Planted a Forest
もうひとつは、アッサム州ジョルハットの近く、大河ブラマプトラの中にあるマジュリ島に住むジャダヴ・パイングの話である。
こちらの話は YouTube で短いドキュメンタリー映画を見ることができる。
マジュリ島はブラマプトラ最大の中州だが、モンスーンのたびに大きな被害を受けるとともに、土地が流出し、川の面積は年々狭まっており、このままだといずれは消滅してしまうという。島には15万人ほどが住んでおり、彼らにとってこれは深刻な問題である。
この島に住むパイングも、やはり1970ごろから植林を始めた。
今では、ゾウやサイ、トラなどの姿も見ることができるという。
[Source]