2015年6月8日月曜日

トルコ総選挙、与党AKP(公正発展党)が議席を減らし、左派HDP(人民民主主義党)が躍進: エルドアン政権に打撃

6月7日に投開票が行われたトルコ総選挙(定数550)は、エルドアン大統領の与党AKP(公正発展党)が憲法改正発議が可能になる330議席を確保するかが焦点になっていたが、大幅に議席を減らして258議席にとどまった。エルドアン政権が目標としていた大統領権限の強化に、国民がノーを突きつけた形である。
 一方、野党は議席を伸ばしたが、中でも50議席増の議席増の79議席を獲得したHDP(人民民主主義党)が注目される。HDPは、クルド人系の人々を支持基盤にした左派政党である。
HDPはクルド系住民に支持基盤を持つとはいえ、女性やLGBPの権利にも力を入れており、その基本政策には最低賃金政策や若者の失業問題、水道と電気の基本料無料パッケージ、教育と医療アクセスの無償化、そして平和運動(アルメニアとの交易停止措置の解消などを含む)が並んでいる。EU加盟については追求するとしているが、(Syriza同様)そのネオリベラルな政策には懐疑的である。信教の自由の追求と、国民のイスラム信仰を監視する政府機関の廃止も約束している。
クルド問題については民族アイディンティティの権利を認めることや、クルド人地区の自治権を認めることなどが目標となっている。(政策については"Turkey gets a taste for European-style radicalism ahead of election" を参照した)。
多様性に寛容な政策が、本来の支持基盤であるクルド人や左派のみならず、オキュパイ・ゲジ(2013年に起こったタクスィム・ゲジ公園再開発などに抗議して発生した若者たちの反政府運動)に参加したような若者たちの支持を、HDPに向かわせたようである