2017年8月28日月曜日

公開書状  世界社会フォーラム2018( 2018年3月13日〜18日 サルバドール)の呼びかけ(非公式日本語訳)

 来年、ブラジルのサルバドールで世界社会フォーラムを開くという告知が出ていましたので、取り急ぎ翻訳しました。非公式の翻訳です。


 しばしば「バイーア」と呼ばれるサルバドール市は、ブラジルの港湾都市で、バイーア州の州都でもある。
 港湾都市として発展を遂げ、近年ブラジル第三の都市に成長した。
 同時に、社会運動が盛んであることでも知られ、労働者党のルイ・コスタ知事が州の政権を担っている。



2001年にブラジルのポルト・アレグレ市で最初の世界社会フォーラムが開かれ、同年に左派政党である労働者党のイグナシオ・”ルラ”・ダシウヴァ政権が誕生し、その後後継のジルマ・ルセフ政権が2016年に弾劾で崩壊するまで、ラテンアメリカでは珍しい足掛け16年間の安定した長期左派政権が続いた。

しかし、国際的なリバータリアン・ネットワークの支援を受けたとされている「ブラジル・リブレ運動」などの活動もあり、労働者党政権が崩壊し、ブラジル政界の流れは保守に大きく傾くことになった。
 その間、世界社会フォーラムはブラジルや他のラテンアメリカ諸国のみならず、アフリカやインドなどで開催された。
 特に、2013年と2015年はアラブの春との連帯のため、チュニジアの首都チュニスで行われた。

社会フォーラムを発端とする「オルタグローバル運動」はアラブの春やスペインの「怒れるものたち」運動、オキュパイ・ウォールストリート運動(及び大統領選でのサンダース旋風)、そしてギリシャのシリザ、スペインのポデモス、イギリス労働党のコービン党首の誕生といった流れにつながっている一方で、すでにグローバルなネットワークが構築されつつある状況で十万人が集まってお祭りをすることの意義は薄れている、と指摘する向きもあった。

しかし、トランプ旋風とフェイク・ニュースの隆盛、欧州における移民排斥運動と極右政党の台頭、といった問題も急速に広がっている。
 左派のものだった「反グローバル」運動が、急速に右派によって簒奪された、ということもできるだろう。

この状況下で人道(ユマニテ)、人権、民主制、連帯、平和、多様性と尊厳の尊重を基調にした「反ネオリベラリズム、反帝国主義」の運動を再構築することが、サルバドールの世界社会フォーラムに期待されている、ということである。


(非公式日本語訳)

 世界社会フォーラム2018の呼びかけ 

2018年3月13日〜18日 サルバドール(ブラジル、バイーア州)
  「抵抗することは想像することだ。抵抗することは変容することだ」(Resistir é Criar, Resistir é Transformar)

世界社会フォーラム2018を規定する場所である"ブラジル社会運動・団体連合"はここにブラジル、ラテンアメリカ、そして世界中の人々、組織、社会運動、運動のネットワークとプラットフォームを、2018年にブラジルのバイーア州サルバドールで2018年3月13日から17日にかけて行われる世界社会フォーラムの組織化と実施のプロセスに参加するよう呼びかける。


2017年1月にポルト・アレグレで行われた前回の世界社会フォーラム国際評議会は、経済的、社会的、環境的な危機と、人間性が経験する民主的価値の危機の深刻さを鑑み、2018年3月にサルバドールで次の世界社会フォーラムを開催する喫緊の必要性があると考えた。ブラジル、ラテンアメリカ、そして世界各地において、反動的で保守的な思考が急成長しており、それが我々、連帯、社会正義、民主制と平和という枠組みによる新しい世界の擁護者全てを、緊急体制と永続的な運動の中に置き、人間性を苦しめる混乱した現実への抵抗と変容の闘いのための社会運動の世界的な結節と連合のプロセスを要求している。


世界社会フォーラムはそれ自体を、すべての形態の帝国主義と資本による支配に反対するこの地球すべての市民社会の運動体と組織が、様々な考えについて民主的に議論し、提案を構成し、経験を自由に共有し、効果的な行動を策定するための、水平で多元的な出会いのための「開かれた空間」であることを強化する。それは、ネオリベラルなグローバリゼーションへのオルタナティヴの建設を探求するため、また我々の世界が経験している非人間化のプロセスに対する、多様性と共にある社会的抵抗の能力を向上させる国内的あるいは国際的な領域における、社会運動やそのネットワーク、その他の形の市民社会の結節のための世界的広がりを持つプロセスである。


この観点から、サルバドールでの世界社会フォーラム2018は、多様な形態の暴力や社会的・地域的不平等の原因に立ち向かう方法を探求し、多様性の尊重、民主制、連帯という観点の中での、人道にとっての共通の問題を共に考えるための、オルタグローバリスト の再結集の機会となるだろう。


ブラジル、特にバイーアはここ数ヶ月で、国内外の保守勢力の攻撃に対する抵抗運動が成長した場所である。ここで、この現代という歴史的時期において、民主的で民衆的な勢力によって採用された戦略の間違いと成果について熟考することにしよう。この理由から、サルバドールにおける世界社会フォーラムは、ブラジルと世界で姿を現しつつある権威主義的な思想に立ち向かう効果的なアクションを考えるため、これら抵抗の多様な経験を、博愛的で参画的な方法で結合させる重要な機会を提供するだろう。


世界社会フォーラム2018のモットーは、「抵抗することは想像することだ。抵抗することは変容することだ」(Resistir é Criar, Resistir é Transformar)であり、これはブラジルの社会運動連合にとって、私たちの抵抗が新しい芽を運んできてくれる、ということを言わんとしている。わたしたちは、このネオリベラリズムに抗し、帝国主義に抗し、環境破壊に抗する"民衆の闘い"という世界規模のプロセスの中で、私たちは日々の実践を通して、「もう一つの世界」につながるオルタナティヴを構築しているのだ、と理解している。


であるがゆえに、世界社会フォーラム国際評議会とブラジル促進委員会は、連帯、ラディカルな民主制、持続可能な環境と社会的公正による社会の構築に参画している世界中の市民に対して、世界社会フォーラム2018の組織化と開催に参加するように呼びかける。全ての人の参加は我々のユートピアの未来にとって、根源的である。


サン・パウロ 2017年8月18日
世界社会フォーラムのためのブラジル連合


Replies should be sent to: forumsocialmundial@fsm2018.org or through the website www.fsm2018.org. Please let us know your name and organization in your reply to this WSF call.


英語版PDFへのリンク
http://fsm2018.org/wp-content/uploads/2017/08/OPEN_LETTER_WS_-2018.pdf

2016年11月30日水曜日

ニューヨーク市長、トランプ次期大統領の排外主義への対決姿勢を表明


 ニューヨークのビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長が11月21日に行った演説の中で、トランプ次期大統領が行うと公約しているいくつかの政策への協力を拒否し、場合によっては連邦政府に逆らってでも社会包摂的なニューヨークを維持する決意を表明しています。
 とりあえず、翻訳付きで紹介します(急いでやったので、ミスがあればご指摘ください)。

これは、あなた方の市長としての、私の約束です。
私たちは、私たちの民衆のために立ち上がるためであれば、すべての行使可能な手立てを使います。

もし、イスラム教徒が登録を要求されたら、それを阻止するための法的措置をとります。

もし連邦政府が私たちの警察官に対して、移民の家族を引き離すように望むなら、私たちはそれを拒否します。

もし連邦政府が遵法的なニューヨーク市民を、弁護人なしに追放しようとするなら、私たちは問題に介入します。

市議会としてその人達が彼ら自身と家族の身を守るために必要な弁護士を提供できるようにします。

もし、司法省が地元警官に停止身体検査(stop and frisk)の再開を求めるなら、私たちはそれに応じません。

私たちは人種的プロファイリングに基いた地域警備(neighborhood policing)を行いません。

プランド・ペアレントフッド(※人工妊娠中絶を含めた性と生殖に関する医療サービスを提供するNGO。マーガレット・サンガーによって設立された)への連邦助成が脅かされるならば、私たちが、女性が必要な健康サービスを受けられることを保証します。

もしユダヤ教徒、イスラム教徒、LGBTコミュニティのメンバー、あるいは他のいかなるコミュニティのメンバーが犠牲にされ、攻撃を受けるなら、私たちはその攻撃者を見つけ出し、彼らを逮捕し、訴追します。

これがニューヨークなのです。
選挙の日から、我々のあり方のなにかが変わったわけではありません。

私たちはいつも、ニューヨークです。
私たちはいつも、ニューヨークです。(スペイン語で繰り返す)

2016年4月16日土曜日

農民の闘争の国際デー (4月17日)

4月17日(日)は「農民の闘争の国際デー」として、全世界でヴィア・カンペシーナや「土地なき農民運動」などが集会を開きます。この日は、20年前の1996年にブラジルで19人の農民活動家が虐殺された日を記憶するために定められました。20年経った今でも、各地で農民の権利を守るための闘争のリーダーたちが殺されています。

ヴィア・カンペシーナは声明の中で
「農民の生き方や人間性の営為における人々の重要な遺産に対する、すべての形態の不正義を非難します。利潤の増大のために、土地と天然資源が社会の共有材として扱われることを否定し、それらを私営化(民営化)するモノカルチャーの実践を強制するアグロビジネス・モデルの押し付けが行われ続けています。それらは、生物多様性を破壊し、さらに多くの毒を使わせ、政府や国家の意思をねじ曲げようとします。
 利潤を最大化しようという大企業の受動的な同盟者である多くの政府とは異なり、ヴィア・カンペシーナは、人々の「食料主権」原則に基づいた、自然と人間性のバランスを保全する平等性に基づいた経済を確立する時が来たと信じています。」と述べています。

[Resouce] 17th April: Peasants mobilize to mark two decades of struggle to defend land and life

2015年10月5日月曜日

ライトライヴリーフッド賞(オルタナティヴ・ノーベル賞)発表


 今年もノーベル賞シーズンがやってきたが、この時期に合わせて、いくつかの賞も発表される。「もうひとつのノーベル賞」と呼ばれるライトライヴリーフッド賞も発表になった。ライトライヴリーフッド賞は、「我々が直面している最も緊急の課題に対する実践的で先駆事例となる回答」に対して与えられる。具体的には、人権や環境の問題に取り組んで来た個人ないし団体が(原則として毎年4人)受賞する。
 昨年は、エドワード・スノーデン氏らが受賞した。「積極的平和」という単語をめぐって今年話題になったガルトゥング氏なども受賞者である。日本からは高木仁三郎氏と生活クラブ生協が受賞している。環境運動で著名なワンガリ・マータイ氏はノーベル賞を受賞する以前にこの賞も受賞している。


 今年の受賞者は以下の通りである。


トニー・デ・ブルム(マーシャル諸島外相)と同国の人々。核保有9カ国を国際司法裁判所に提訴など、核軍縮に尽力。


シーラ・ワット=クルーティエ。カナダの先住民イヌイットの代表として環境保護などに尽力。

カシャ・ジャクリーン・ナバゲセラ。ウガンダでLGBTIの人々の権利のための活動に尽力。

ジノ・ストラーダ。イタリアのNGOエマージェンシーの創立者として、アフガニスタンなど戦地での医療に尽力。

2015年8月11日火曜日

W. E. B. デュ・ボイスからマルコムXまで: 反核運動の語られざる歴史

[Resouce]
W. E. B. Du Bois to Malcolm X: The Untold History of the Movement to Ban the Bomb (2015/07/30)

マーティン・ルーサー・キング Jr. 牧師がヴェトナム戦争への強い反対を表明したとき、メディアは彼の市民権要求の道から逸れていると非難した。多くの人は「その件はほっておけ」と言葉を費やして彼を止めた。しかし実際は、アフリカ系アメリカ人の指導者たちは彼以前にも、平和と正義に関する幅広い問題に関心を抱き続けてきており、特に、核兵器に反対してきた。不幸なことに、この事実は主要な出版社がつくった歴史教科書からは排除されてしまっている。

1964年6月6日、日本の作家と被爆者団体が、広島長崎世界平和研究ミッションの一部として、ニューヨークのハーレムを訪れた。

日系アメリカ人活動家のユリ・コウチヤマがハーレム・マンハッタンヴィル公共住宅プロジエクト内の彼女の自宅で、友人であったマルコムXと共に、被爆者団体のレセプションを主催した。マルコムは「みなさんは原爆に傷つけられてきました。みなさんがご覧になったように、私たちもまた傷つけられてきたのです。私たちに落とされた爆弾は、レイシズムと言います」と挨拶した。彼はさらに、獄中の生活、教育やアジアの歴史について話を続けた。話がヴェトナムに移り、マルコムは「もしアメリカがヴェトナムに兵隊を送ることになるなら、進歩主義者はそれに抗しなければなりません」と述べた。彼は「ヴェトナムの闘争はすべての第三世界の闘争であり、植民地主義、ネオ植民地主義、そして帝国主義との闘争なのです」と述べた。マルコムXは、彼以前に公民権の問題に関わっていた多くの人々同様、植民地主義、平和と黒人の自由のための闘争といった問題を常に関連付けて考えていた。しかし、今の生徒たちがこの話を聞かされることはめったにない。

南軍旗を取り巻く昨今の進展と共に、アメリカの歴史教科書に何が含まれ、誰がそれを決めるべきか、という問題に関する新しい論点が出現している。アフリカ系アメリカ人の歴史に関して言えば、多くの場合教科書は黒人の自由を求める闘争を、モンゴメリー・バス・ボイコット事件とワシントン大行進のことだと説明されてしまう。ローザ・パークスとキング牧師は綺麗に整理された枠内に押し込められ、奴隷制、黒人隔離、公民権運動を、国際問題とはいっさい関係のない、純粋に国内問題と見ることで、生徒は黒人の自由を求める闘争の国際的な側面を見落としてしまう。しかし、マルコムXは、1945年から続く、活発に核非武装を求めたアフリカ系アメリカ人の長いリストの一人であった。W.E.B.デュ・ボイス、ベイヤード・ラスティン、コレッタ・スコット・キング、マーティン・ルーサー・キング Jr. 、そしてブラック・パンサー党などは、公民権の問題を平和問題と関連付けて考え、黒人の自由のための運動を広げ、それをグローバルな人権という概念の一部に定義するのを助けた多くのアフリカ系アメリカ人の一部である。

もし生徒がデュ・ボイスについて学ぶとしても、それは全米有色人種向上協会 (NAACP)の設立に寄与したことや、ハーヴァード大学から博士号を受けたことなどについてである。しかし、デュ・ボイスは広島と長崎への原爆投下の数週間後に、トルーマン大統領をアドルフ・ヒトラーと結びつけて「我々の時代の大量殺戮者の一人」と呼んだのである。彼は日本も訪れ、核兵器の利用を批判し続けていた。1950年代、韓国でもう一つの「ヒロシマ」が起こる恐れがあった時、デュ・ボイスは「核兵器禁止」請願によって核兵器を捨てるために黒人コミュニティが努力するよう、まとめあげた。多くの生徒は彼らの学業全体の中で、デュ・ボイスの国際関係における業績について学ぶことはない。

もし生徒がベイヤード・ラスティンの名前を聞くことがあっても、それはワシントン大行進に関する彼の業績に関連してである。彼はアメリカの歴史教科書の中で悲劇的なまでに小さな扱いしか受けていないが、これの主要な原因は、彼のホモ・セクシャリティによる。しかし、公民権と平和に関する彼の活動は、1930年にまでさかのぼる。1959年の公民権運動の最中に、ラスティンはアメリカ合衆国の制度的なレイシズムだけではなく、フランスがアフリカ大陸で最初の核実験を行おうとするのを阻止しようとガーナを訪れたこともある。

最近では、いくつかの教科書がキング牧師のヴェトナム戦争批判を掲載するようになった。しかし、キング牧師の反核兵器運動はその10年以上前の1950年代後半までさかのぼる。1957年から彼の死まで、演説、説教、インタビューや行進の機会に、キングは戦争と核兵器の利用に抗議し続けていた。キングは核実験の停止を訴え、「黒人であれ白人であれ、すべての人が置かれた文脈の中で、確立された社会正義を持つことの究極的な価値となるだろうことは、ストロンチウム90あるいは核戦争による破滅に直面しなくていいようになるということであろう」と述べた。1962年10月のキューバ危機の後に、キングは政府によびかけ、核兵器に使われている何十億ドルかのいくばくかを、教師の給料を上げることや、貧困地域に必要とされている学校を建てることに使うべきだと訴えた。2年後、ノーベル平和賞を受賞したキングは我々の社会の精神的および道徳的な遅滞は、人種的不公正、貧困と戦争の三つの問題の結果であると述べた。核の時代にあって、彼は社会がレイシズムと絶滅の危機を除去しなければならいと警告した。

キング牧師の妻は彼の反核の姿勢に大いに影響した。コレッタ・スコット・キングはアンティーク大学の学生時代に彼女の社会運動を開始した。1950年代から60年代にかけて、キングは多様な平和運動組織と一緒に活動し、また女性活動家の団体とともに、ケネディ大統領に対して核実験禁止を要求する運動を始めた。1962年に、コレッタ・キングは、ソ連とアメリカの核実験禁止条約を結ばせようとする世界的な試みである、ジュネーヴでの軍縮会議における「平和のための女性ストライキ」に代表として出席した。彼女の帰国後、シカゴのAME教会でキングは「私たちは核戦争で自分たち自身を滅ぼすかどうかの瀬戸際にいます。公民権運動と平和運動は究極的には同時に働かなくてはなりません。なぜなら、平和と公民権は同じ問題の一部なのですから」と述べた。

もうじき、私たちは広島と長崎の原爆投下70周年を追悼するであろう。1963年のワシントン大行進かの記念日からそうたってはいない。生徒は学校と彼らの教科書に戻るであろう。しかし、ほとんどが、これらの問題がどう関連しているか、学ぶことはないであろう。彼らは、公民権運動の中にいた人々が同時に平和のために戦った、ということを学ぶことはない。しかし、この状況はすぐにでも変えなければならない。マルコムXが述べた、戦争、貧困、レイシズムで傷つくことは未だに続いている。生徒たちが、この「死の三つ子」に挑戦する社会運動の長い歴史について学ぶべき時がきているのである。

ヴィンセント・J. イントンディはモンゴメリー・カレッジ准教授(歴史学)であり、アメリカン大学核問題研究所の所長である。著作に"African Americans Against the Bomb: Nuclear Weapons, Colonialism, and the Black Freedom Movement" (Stanford University Press, 2015) がある。

2015年8月7日金曜日

戦争状態にある国の軍事施設に対する攻撃を「テロ」と呼びうるか?

 7月16日に米テネシー州チャタヌーガのアメリカ軍施設で発生した銃乱射事件で海兵隊員4人が死亡、警官など3人が負傷した事件の翌日に、グレン・グリーンウォルドによって発表された文章を紹介する。日本でも「自衛権」の解釈拡大が話題になっているが、安保法制が立法されてしまった場合の軍事パートナーであるアメリカにおいても、こういった用語の溶解が起こっており、こういった世界的な流れがいつか破局的な事態を招くのではないかと危惧されるところである。

[Resource]
The Chattanooga Shootings: Can Attacking Military Sites of a Nation at War be “Terrorism”?

 テネシー州チャタヌーガで昨日、銃を持った男がアメリカ軍の軍事施設を襲撃し、海兵隊員が犠牲になった。「ムハンマド・ユセフ・アブドゥルアジズ」という襲撃犯の名前以外になにもわかっていないうちから、アメリカのメディアはすぐにかつ広く、これを「テロリズム」と表現し始めた。FBIも記者会見で「これがそうでないと判明するまでは、我々はこれをテロ事件として捜査を行います」と発表した。

 アメリカの政治とメディアの言説の中の「テロリズム」は、「西洋に対するムスリムの攻撃」以上のものではないということは、今や議論するまでもなく自明である。今回の事件では、容疑者の名前がこのラベルを適用するきっかけに十分であったように思われる。私はこのことを過去なんども述べてきた。最近では、2週間前に、チャールストンの黒人教会を攻撃した銃激者に対しては、彼の政治的、イデオロギー的動機が明らかであるにもかかわらず、「テロリスト」というラベルは断固として使われなかった。私はこの問題についてここで蒸し返すつもりはない。そうではなく、この用語をめぐるもう少し詳細な疑問について論じたい。つまり「民間人ではなく、国家が戦争状態にあるときの軍事施設や兵士に対する暴力的な攻撃に「テロリズム」というラベルを貼ることは妥当だろうか、ということである。

 (法的な用法に反して)一般的には「テロリズム」は「民間人に対する攻撃」を(たとえそれを明示しなくても)暗示する。なぜ911事件の攻撃が際立って残虐だとみなされるのかと尋ねられれば、ほとんどの人は、それが民間施設の民間人を無差別に攻撃対象にしたものだからだ、と答えるであろう。もし、彼らにさらに、民間人を殺害するアメリカによる暴力行為を合法で正当化しうるものだとみなし、逆にアメリカに敵対する暴力(テロリズム)をそうみなさないのは何故かと問えば、彼らは、アメリカは偶発的にしか民間人を殺さず、民間人の殺害を目的にしたことはないからだと答えるだろう。果たして、目標が軍事施設か民間人かというのは私たちが、これが「テロリズム」であれはそうではない、というときに、暴力を正当化するための中心的な論点であるだろうか?

 しかし、西洋はだんだんと、純粋に軍事的な標的に対する暴力も、「テロリズム」と呼ばれるようになっている。このような状況で、多くの人は、ニダル・ハッサンが、彼のテキサス州フォート・フッドの米軍基地に対する攻撃に関して(メディアの多くは彼を「テロリスト」と呼んでいるが)公式にはテロリズムの罪に問われていないことに憤慨している。カナダで昨年10月、政府がイラクにおいてイスラム国(ISIS)に対する空爆を行うことを宣言した一週間後に、ムスリムの男が駐車場の車の中で軍服を着た二人のカナダ兵を見つけるまで一時間あまり待ち構えた末に、彼らを轢き、そのうちの一人を殺害した。これは世界的に、兵士を目標にしているという事実にもかかわらず「テロリズム」と非難された。オマル・カダルはアフガン戦争の銃撃戦で米兵を殺したことによって10代でグァンタナモ刑務所に送られ、「テロリスト」と名指された。私の同僚のムルタザ・ハッサンが鮮やかに分析した、アメリカでもっとも悪名高い「テロリズム」裁判は、フォート・ディックスの米軍基地に対する攻撃の犯行計画として申し立てられたものに関係している。アメリカにおいて誇示されるテロの逮捕事例は、今や民間施設に対するものより軍事施設に対するものが一般的になっている。911攻撃それ事態も、目標に世界貿易センタービルだけでなく、国防総省ビルも含んでいた。

 軍事基地に対する攻撃すらも「テロリズム」とみなされるべきだという議論は、攻撃された瞬間、戦いに実際に関与していない兵士は正当化される標的ではない、という条件に依拠している。戦場で、実際に戦闘状態にある兵士のみを、攻撃の標的にしてよいという議論である。戦時国際法は、例えば彼らの家で寝ていたり、子どもと遊んだり、あるいはスーパーマーケットで日用品を買っている兵士を捕獲することは許していない。彼らが「兵士」であるというだけでは、どこで見つけられようと、彼らを標的にし、殺していいということにはならないのである。彼らが戦場にあり、戦闘に参加しているということだけが、彼らを殺していい条件である。
 
 この議論は法と道徳の両方に固く根付いている。しかし、誰であれアメリカとその同盟国が「対テロ戦争」という名前の元に実行している軍事行動を支持する人に、真顔でこの視点を提示されると、理解するのは著しく困難になる。西側諸国の軍隊の行為を駆動している公的な枠組みは、法的および道徳的な基準に著しく反している。アメリカ合衆国とその近しい同盟者は、彼ら自身の暴力を正当化するときには、少なくとも15年以上にわたって、これとまったく正反対な視点を強調している。

 アメリカ合衆国のドローン・プログラムは、「非合法戦闘員」とみなした個人を常に標的にし、彼らがどこで何をしているかをまったく問わず(つまり、彼らがその瞬間、家にいようが、就寝していようが、家族とドライブをしていようが)殺害している。つまり、アメリカは通常、標的の名前や身分すら知らず、彼らの「行動パターン」を元に標的を決定している。オバマ政権は「戦闘員」を「攻撃可能範囲にいるすべての徴兵適齢の男性」というものに、文字通り再定義してしまった。これらすべての「正当化」は、彼らすべてが敵性戦闘員であり、したがってどこで発見され、その瞬間なにをしていようが関係なく、合法的に標的にし、殺害することができる、というものである。つまり、彼らが実際の戦場で戦闘行為に関与するのを待つ必要はない。アメリカ合衆国政府は公式にこの見解を採用している。

 「対テロ戦争」の中心的な前提は、「戦場」と呼べる具体的に限られた空間がもはや存在しないというものであったし、現在でもそうである。実際、世界全体が一つの巨大な「戦場」なのである。この「戦場」ではどこであろうと敵性戦闘員を見つけることができる。このことは、アメリカ合衆国は、「戦闘員」が指し示された「戦場」に入ったり、戦闘に実際に関与したりすることを待つ必要はなく、彼がどこで発見されようとそれは殺害の標的になるという考えを法制化できるということである。

 アメリカ合衆国の最も親しい同盟国は同じ考え方を長く採用してきた。イスラエルは、国家の敵である標的の暗殺(彼らが発見された場所がどこであろうが、彼らは殺害される)という手法を何十年も前から採用してきた。同国は、複数のイランの科学者をその自宅において殺害している。また、ガザの警察署長の自宅を故意に爆撃し、15人を殺害したこともある。それ以前にも警察署に対する爆撃で警察官研修生40人を殺害している。今週、私の同僚のマシュー・コークがNSA(国家安全保障局)の文書から、イスラエルの特殊部隊が2008年に別荘でディナー・パーティをホストしていたシリアの将軍を暗殺したことを証明した。これらすべては、ある勢力は、その敵が「戦場」に入り、具体的な戦闘に関与するまでその敵の殺害を待つ必要はない、という考え方に基礎ずけられた活動である。

 チャタヌーガの銃撃や類似の攻撃に関してここで問題になるのは、それらのすべてないし一部が正当化できるか、ということではない。そうではなくて、問題は、これらの活動に「テロリズム」という言葉が適用されるかどうかであり、その言葉が首尾一貫した意味を持っているか、ということである。なにかが「テロリズム」と分類できるかどうかを問うのは、まったく自明なことに、それが正当化できるか否かをいうためではない。すべての種類の暴力は「テロリズム」であろうがなかろうが悪いのである。

 昨晩のチャタヌーガでのような攻撃が、軍事基地を標的にしたものであるにもかかわらず、彼らがその公的地位に即して行動していたのではなく、どちらかといえば非国家的な個人として行動していたということを持って「テロリズム」と論じる人はいるであろう。しかし、これはアメリカ合衆国が「対テロ戦争」の一環として関与している暴力行為が、本質的に正当で、合法なものであり、アメリカによって宣言された敵(それが非国家的アクターであっても)による暴力は決してそうではない、と主張する別の言い方にすぎない。これらすべてが自己正当化のために作られたダブルスタンダードである。これは単に、シリアがアメリカやイスラエルの将軍を暗殺するために彼らの自宅に特殊部隊を派遣した時に吹き出るであろう怒りを想像してみればよい。

 そして最後に、本当のポイントはここなのだが、アメリカ政府、その同盟国やそれらの擁護者は継続的に、彼らが宣言した「戦争」の中の彼らの敵によるすべての暴力が非正統化される一方で、彼ら自身によるすべての暴力を正統化すること以外の目的のない基準を広め続けている。「テロリズム」という用語のプロパガンダ的発動以上に中心的な問題はない。こうして我々は、アメリカ合衆国の敵がアメリカの軍事基地や兵士を目標にするとき、それは「テロリズム」であり、しかしアメリカ合衆国が無思慮に大量の市民を殺戮すると分かりきった暴力に関与したとしても、それは「テロリズム」と呼ばれない、という地点に到達したのである。

追記:CNNは以下のようにTweet した。(訳:フランス政府は軍事施設を攻撃するテロ計画を未然に防いだと発表した)


 こういった用法を西側諸国の敵側が使用すれば、それは撞着語法であると非難されるであろう

2015年7月30日木曜日

大英帝国はインドなどの旧植民地に賠償金を支払うべきか

[Resouce]
Viewpoint: Britain must pay reparations to India

5月末、世界で最も伝統あるディベート・サークルであるオックスフォード・ユニオンは、「英国はその元植民地に賠償金を支払うべきか」をテーマにした討論をおこなった。講演者は、元保守党議員のリチャード・オッタウェイ卿、インドの政治家で作家であるシャシ・タロール、英国の歴史家ジョン・マッケンジーなどである。シャシ・タロールの議論は討議の後 Twitter で拡散され、広い指示を得た。その論点は以下のようなものである。


経済

18世紀初頭、インドのGDPは世界の23パーセントを占めていたと推計されており、これはヨーロッパのそれとほぼ同じ規模である。しかし、インドが独立した時点で、GDPのシェアは4パーセントまで低下していた。理由は単純で、インドは英国の利益のために統治されていたからである。19世紀の終わりの時点で、インドは英国最大の輸出先であり、また英国人の植民地官僚は高給取りであったが、インド人はこれも支払っていたわけである。


インドの脱産業化

 英国の産業革命はインドの脱産業化の上に成たっている。インドの織物産業はイギリスによって破壊され、イギリス産の安い織物が市場を埋めた。インドは原料を輸出し、高価な最終製品を輸入する国に改造された。
 ベンガルの手織物、特に安いが品質の良いモスリンは世界各地に輸出されていた。
 イギリスは、これらの手織物職人の親指を切り落とし、機織り機を破壊し、関税をかけることで、自国の蒸気機関で生み出された織物を世界にあふれさせた。
 産業の中心地だったダッカの人口は90%低下し、職人たちは物乞いをせざるを得なくなった。インドの世界マーケットにおけるシェアは27パーセントから2パーセントに落ち込んだ。


「インドのクライヴ」

 ロバート・クライヴのような植民地主義者は、インドで獲得した資金を使って腐敗選挙区(住民がほとんどいなくなったものの庶民院の議席が維持されている小選挙区。議席を買収することが容易だった)からの議席を獲得した。
 英国の人々は、厚かましくも、彼らがイんドに属しているかのように「インドのクライヴ」などと呼んだ。実態は、彼らがインドを、自らに属しているかのように扱ったのである。


ベンガル飢饉

 英国の容赦ない搾取によって、1500から2900万人が飢饉によって亡くなったと考えられている。
 こういった大規模な飢饉が最後に発生したのは、英国統治時代である。1943年に、四百万人がなくなったベンガル飢饉は、ウィンストン・チャーチルがインドから英国の兵士とヨーロッパのために食料を転送させた後に発生した。
 チャーチルは「ベンガルの飢饉はギリシャのそれより深刻ではない」と論じた。
 ある良心的な官僚が電信でチャーチルに、彼の方針が悲劇的な状況をもたらしていると知らせた時には、彼は苛立って「では何故まだガンジーは餓死してないのかね?」と答えただけだったという。


「啓蒙的な独裁」という神話

 英国の帝国主義は、「啓蒙的な独裁」であったという正当化がなされてきた。しかし、1943年のチャーチルの非人道的な行為は、それが嘘であったことを明らかにした。
 しかし、実際はその嘘は2世紀前から明らかであった。大英帝国は大きなスケールでの征服と欺瞞によってだけではなく、大砲によって反乱軍を粉砕することや、ジャリヤーンワーラー・バーグに集まった非武装の民衆を虐殺すること(日本では一般にアムリットサル事件として知られる虐殺事件)、制度化された人種差別による不平等の維持などによったのである。
 植民地時代に英国市民であると感じていたインド人はいなかった。彼らは常に、市民ではなく臣下であったのである。


インド鉄道

 インド鉄道網の建設はしばしば、英国統治からくる利益であったと言われる。これは、多くの国が植民地化されずに鉄道を建設しているという自明の事実を無視している。
 インドの公衆のための作られた鉄道は存在しなかった。それらは、イギリス人の交通の便のために作られたのであり、それ以上に、インドの天然資源をイギリスに輸出する港に運ぶために作られた。植民政策の利益にならない人々の移動というのは、鉄道の目的としては二次的なものであった。人々の大規模な移動という需要に応えるために鉄道の供給が調整されたことはない。
 事実として、インド鉄道は英国植民地の詐欺である。英国の投資家たちは馬鹿げた金額を鉄道事業に投資したが、これは政府が過剰な配当を約束したせいであり、この配当はインド人が支払った税金で賄われた。
 英国人の強欲のおかげを持って、インド鉄道建設費用は、カナダやオーストラリアの建設費用と、一マイルあたりで比較して倍である。これは、壮麗な詐欺であった。イギリス人が全ての利益を得、技術を管理し、全ての設備を供給するのであり、したがって利益はすべてインドの外に出て行ってしまう仕組みである。これは当時から「公共がリスクを負う、私企業の企て」と表現されるスキームであった。つまり、イギリスの私企業の利益と、インドの公衆のリスク、である。


英国の援助

 植民地制度に対する賠償の要求が大きくなってきた近年ですらも、イギリスの政治家たちはインドのような国々が英国の納税者の負担で、基本的な経済援助を受け取るべきなのかどうかについて論じている。
 第一に、開発援助として受け取っているのはインドのGDPの0.4パーセント、1パーセントのさらに半分以下、にすぎない。
 英国の援助は、賠償に関する議論が提起すべき金額にはるかに及ばず、インドが農家に払っている肥料の補助金の一部でしかない。このことはこの議論の適切なメタファーになるだろう。
 イギリスの人々は我々がクリケット、英語、議会政治といったものを愛好すること、シムラを舞台にした『インドの夏』のようなテレビシリーズの中の、ラジ(英国統治時代の)まやかしの思い出、ガーデン・パーティ、異教徒のインド人、といったものを見るのが大好きだ。
 しかし、多くのインド人にとって、略奪、虐殺、流血の歴史であり、最後のムガール皇帝が牛車でビルマに追放された歴史なのである。


世界大戦のインド兵

 インドは第一次世界大戦に、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドと南アフリカからの兵士を足したよりも多く、英国兵として兵士を参加させた。
 不況、貧困、そしてインフルエンザの蔓延にもかかわらず、インドは今日のお金にして80億ポンド(120億ドル)の資金を拠出した。
 第二次世界大戦でも、250万人のインド人が英国軍として参戦した。終戦時には英国の30億ポンドの債務のうち12.5億ドルをインドが引き受けたが、これは植民地時代の搾取から見れば氷山の一角というべきものである。これらは返済されていない。


コ・イ・ヌール・ダイヤモンドの返還


 重要なのは、英国が支払うべき賠償金の金額ではなく、贖罪の原則である。
 200年の不正義は、いかなる金額でも補償できるものではない。
 私は、個人的には、例えば今後200年にわたって、毎年象徴的な1ポンドが謝罪の印として支払われるということで十分満足である。
 そしておそらく、英国はコ・イ・ヌール・ダイヤモンド(訳注:ムガール皇帝が代々継承してきたダイヤモンドで、インド皇帝としてのヴィクトリア女王が継承し、現在は英国王室が所有している)が返還されるべきであろう。

2015年7月25日土曜日

アメリカ、遺伝子組替え食品の表示義務を禁止する法案が下院を通過


 「アメリカ、遺伝子組替え食品の表示義務を禁止する法案が下院委員会を通過」でお伝えしたお伝えした、遺伝子組替え食品の表示義務を自治体が独自に課すことを禁止する法案が米下院を通過した。議論は上院に移る。


[Resouce]
 House approves voluntary GMO labeling bill, H.R. 1599
 

Eurodad: アディス・アベバ・サミットは開発のための資金問題を議論するに十分ではなかった。

すでに何度か紹介した「国連開発資金国際会議」であるが、債務の問題に取り組んでいる欧州の市民社会組織であるユーロダッド(Eurodad)によるまとまった論考が発表されたので、訳出する。
 ちなみに、Facebook では、「アメリカ、イギリス、日本の主導により富裕国が、政府間課税機関について議論することを拒否することによって、FfD合意全体を脅かしている」と批判していたが、本文ではアメリカ、イギリスに加えて(日本に変わって)フランスの名前が挙げられている。要するに、G7に参加している主要国が、改革の阻害要因とみられているということであろう。

開発資金に関するアディス・アベバ・サミットは今日のグローバル金融システムの不公正と欠点いついての議論を再び活性化させるプラットフォームになった。しかし、サミットは解決策を提示するには不十分であり、唯一の決定的な前進は、毎年定期会合を開催していくという決定だけである。このサミットは、大団円というよりは、開発資金に関する長い道のりの最初の一歩になった、というべきである。アディス・アベバまでの道のりのなかで市民社会と第三世界諸国が主導してきた変革推進の強い力は、今後も継続され、成長させられなければならない。

アディス・アベバに集まった市民社会組織(CSOs)は会議場の廊下に「ニューヨークで会いましょう」という巨大なバナーを掲示することで、会議の残念な成果への失望を表明し、諸国の政府に、このキャンペーンが、開発目標に貢献しうる変革を達成できるようシステムを変革するまで続けるべきであることを示した。今回掲げられた問題の多く、特に、税、民間金融、開発援助、債務の問題に関係することが、CSOsのアジェンダの域に留まっている。アディス・アベバで構築されたCSOsの間でのグローバルな共同作業と、アディス・アベバの欠点に対する公的な認識と批判が知れ渡ったことが、おそらく最も重要な会議の成果でしょう。


国際的な脱税行為を止める国際機関

毎年数兆ドルがグローバルな税システムの欠陥によって失われているという事実を受けて、開発途上国はグローバルな税基準に関する決定を行う会議のテーブルにつくことを求めて、アディス・アベバに集まってきた。彼らは国際的な脱税と不正な資金の流れを防ぐための新しい国連機関の設置を求めている。それは、金持ち国クラブと揶揄されるOECDから、この問題に関するグローバルな決定の権限を受け継ぐものになる。OECDが決定権を持っている限り、100カ国以上の発展途上国は、政策決定プロセスから排除されていることになるのである。

 「グローバルな税機関」に関する議論は、非常に白熱したものになり、アジェンダ上で最も際立った議題になった。しかし、イギリス、フランス、アメリカ合衆国などにリードされた先進諸国は、税機関に対する全ての言及を削除させ、OECDだけがグローバルな税基準に対する議論を行う唯一の国際機関であるという現状を維持している。これは、彼らを歓迎しない閉じられた部屋で決定され続けるグローバルな税基準を受け入れさせられる発展途上国にとってだけの悲劇ではない。これは実際のところ、すべての人にとっての悲劇である。なぜなら、50年以上にわたってOECDが決定権を支配してきたが、その結果が示すように、半数以上の国々が政策決定から排除された状態でつくられたグローバルな税システムが実効的なものにはなりえないからである。世界の政府がグローバルに共同し、壊れた税システムの修正に取り掛かるまでは、多国籍企業は産業界規模で脱税を継続するだろう。幸運なことに、変革を求めるグローバルな圧力は、これらの問題をアジェンダから外しておくことが不可能なまでに高まっている。グローバルな税機関を求める18万人以上の署名が Avaaz の請願サイトをつかって集められ、130以上の発展途上国を含むG77諸国は、彼らがこの問題に対する要求をし続けることを強調して会議を終えた。したがって、人々の視線は、キャンペーンの次の目標として自然に、2016年の継続会議に向けられている。


 民間金融の規制なき受け入れ

 民間金融の開発のための関与という問題に関してもまた、アディス・アベバの成果は幾つかの重要な挑戦に関する議論を十分行えていない。民間金融はすでに多くの開発プロジェクトで中心的な役割を持たされて受け入れられており、それらが十分な成果を上げた記録はまだなく、また企業が人権に適合することを保証する基準も非強制的なものにとどまっているにもかかわらず、発展途上国に対する民間資金の流れをレヴァレッジ(テコ入れ)するメカニズムは推奨されている。海外民間投資のフローに対する過剰な信用は、それらのフローが有意なリスクを伴うことから、公衆の利益を最大化するように慎重に管理されなければならない。リスクを扱うことの重要性は、Eurodad第三世界諸国の政府、研究者によって指摘されてきた。特に、公式の会議と並行して行われたラウンドテーブルでのジョゼフ・スティグリッツの指摘は一見の価値がある。

会議の成果は、強力な妨害措置のおかげで、官民パートナーシップ(PPPs)に関係して生じる様々な問題も扱うことに失敗している。これらは、Eurodad が最近出版した『どんな嘘が隠れているのか?』で強調している問題である。その他の問題の中で、これらのパートナーシップは、リスクを発展途上国側に残す一方で、企業パートナー側に「獅子の分け前」(一番いい部分)を明け渡すはめになることが多い。その結果、金融上の問題を引き起こし、発展途上国の債務レベルを悪化させることになる。PPPsの真のコストを明白にし、PPPsにおける説明責任と透明性を向上させるために、まだまだなされなければならないことが多数ある。今後の議論の一環として、国連は、PPPsの利用に際しての、包括的で開発に集中するための原則と基準を発展させていくために、包摂的で、公開され、透明性の高い議論の場を招集するという役割を果たすべきである。


債務危機に関する具体的な解決策はなかった

会議の公式の成果が解決策を提供できなかったもう一つの、分野は債務問題に関するものである。いくつかの国はすでに債務危機状態にあり、それ以外にも多くの国が重い債務に苦しんでいるにもかかわらず、いかなる具体的な債務救済イニシアティヴも合意には至らず、合意文書には主権者債務の構造改革という原則についての曖昧な言及のみが含まれている。したがって、未来の債務危機を防止し、管理するためにどうしても必要であり、現在失われている多国間債務の構造改革枠組みの発展はほとんど見られなかった。

皮肉なことに、サミットの間ニュースを独占していたギリシャ危機の深刻化は、開発にとって解決できない債務危機がいかに有害なものかを示す明確な警告になった。しかし、アディス・アベバが解決策を提供することに失敗したおかげで、この仕事は現在、ニューヨークで7月後半に開かれる国連総会とそれに付属する債務再建委員会の手に委ねられることになった。


 開発援助のレベルの低下

 政府開発援助(ODA)に関する議論はアディス・アベバ・サミットではあまり時間が取られなかったにもかかわらず、現在の発展は会議に喜ばしい背景を提供しているとは言い難い。後発開発途上国は国民総所得(GNI)の0.7パーセントをODAに費やし、特に0.15パーセントから0.20パーセントを後発開発途上国へのODAに費やすという費やすという、古い約束の達成を確定するタイムテーブルを求めている。アフリカ諸国は、従来の約束を2018年までに達成し、2020年までに新しい目標としてGNIの1パーセントという目標を設定するように求めている。さらに彼らは総予算の50パーセントが後発開発途上国に向けられるべきだと呼びかけている。

不幸なことに、この問題に関する合同声明の作成に際して、欧州連合(EU)はこれらの提案に合意しなかった。この声明では、ODAに関する約束はポスト2015アジェンダのタイムラインの中で実行されるべきだと述べている。これはおそらく、持続的開発目標(SDGs)のデッドラインである2030年までに、という意味であり、市民社会はデッドラインまでに十分な資金提供がなされないリスクを強調している。その間、フィンランド政府はODAの43パーセント削減を発表し、デンマーク政府も現在のGNI比0.85パーセントから、0.7パーセントまで、およそ15パーセント程度のODA予算削減を発表した。

ODAは依然として後発開発途上国にとって非常に重要な役割を果たしているにもかかわらず、アディス・アベバ・サミットは、すべての発展途上国がより信頼できる財源からの追加の資金を動員できるようにする努力にすべての力を傾注しなければならなくなっている状態を明示的に示した。これは、グローバル金融システムのリフォームが強く求められていること、国際的な脱税、民間金融に付随するリスクおよび債務危機に取り組む真の解決策が呼びかけられていることの主要な理由である。これらは、アディス・アベバ・サミットの終了後も長く継続していかなければいけない。


[Resouce]
 Addis Ababa summit falls short of addressing financing for development
 

2015年7月20日月曜日

アメリカ軍退役中将、ドローンによる作戦が失敗であったと指摘

 アメリカ国防情報局長も務め、イラクとアフガニスタンにおける戦争に深く関わって、2014年に軍を退役したマイク・フリン元中将はアル・ジャジーラのインタビューに答え、「ドローンが、テロリストを殺す以上に、テロリスをを作り上げている」と米軍の戦略を批判している。

 イスラム国(ISIL)のシリアにおける勃興に対して、米軍のイラク侵攻が果たした役割について「私たちはまちがいなく火に油を注ぎました。疑いなく、歴史は2003年に行われた決断を労らないでしょう。イラクに行くことはまちがいなく、戦略的なまちがいでした」とフリンは述べている。


[Resouce]
DRONES CAUSE MORE DAMAGE THAN GOOD’ Al Jazeera...

Retired General: Drones Create More Terrorists Than They Kill, Iraq War Helped Create ISIS

【オピニオン】露骨な「貧困削減」の民営化は人権をリスクに晒す

ロンドン(2015/07/16)
企業のロビイストは、開発に関する会議では珍しいゲストである。しかし、今週、国連が、誰が新しい持続的開発目標(SDGs)のための支払いをするか決めるためにアディス・アベバで開催した第3回開発資金国際会議では、幾つかの国の政府は企業セクターの参加を歓迎した。

 不幸なことに、開発に参入する企業の役割が透明で説明可能な状態を保てるようにするためのいかなるメカニズムについても合意に至らなかった。


 ある種の人々は、開発問題において企業に大きな役割を割り振ることは、単純にウィン・ウィンの結果をもたらすと考えている。政府は、気候変動と貧困の問題に責任を持ち、ポスト2015アジェンダで求められる、住宅、健康、教育やインフラに関する目標を満たすために必要な2兆5千億ドルにのぼると見られる援助予算を支出するという圧力から解放されるための融資を利用可能になる。

 一方で、企業は政策立案に対して物を言い、旨味のある公的契約を獲得する潜在的な機会を得られる。

 しかし、政府がこれらの企業の肩に、貧困や気候変動、その他のグローバルな諸問題に取り組むという適切な責任を乗せるまでは、企業は、これは鶏小屋のなかに狐を放つようなものではないか、と疑う批判派を納得させなければならないだろう。

 企業を開発に関与させることが、生活を向上させるための重要な資金源を獲得するよい方法であるとしても、私たちの経験は同じように、企業が説明責任を負わないときは、人々やコミュニティが非常に深刻な害を被ることがある、ということを示している。

 水、教育、医療等の重要な公共サービスにおける民間企業の役割の向上は、リスクに満ちている。国連人権委員会は7月2日、適切な規制のない教育の民営化(私営化)が、無数の子どもたち、特に支払い能力のない世帯の子どもたちを質の高い教育から排除し、彼らの教育を受ける権利をリスクに晒している、と警告している。

 世界各地で、アムネスティ・インターナショナルも、多国籍企業の地域への進出のあとに発生した人権侵害により被害を受け、周縁化されたコミュニティが、場合によっては数十年も、裁判が行われるのを待ちわびているケースをあまりに多く報告している。企業セクターを適切なセーフガードなしに開発目標に関与させようとしている国々は、これら危険な問題について忘却しているのである。

 ボパールの毒ガス流出事故は、インド最大の工業災害となり、57万人以上の犠牲者が30年以上正義がなされるのを待っている。責任のある企業はユニオン・カーバイド社で、同社はその後ダウ・ケミカル社に吸収された。ボパール地裁はダウ社の刑事責任を追及しようとしているが、同社は聴取にすら応じていない。その間、生存者たちはインドと米国の両方での裁判を追及し、得られないでいるわけである。

 1989年の調停合意でユニオン・カーバイド社がインド政府に払った補償金は、発生した損害をカバーするにはまったく不足だったのであり、被害者に補償金を分配するのに深刻な問題が発生した。

 豊かな天然資源と貧しい規制体制を持つ外国で操業する企業は、傷つきやすい人々の支払いのうえに、巨大な利益を得ることになるのである。

 今年の初め、アムネスティ・インターナショナルはカナダと中国の巨大鉱山企業が、ミャンマー政府による人権侵害行為から、時には政府の共謀により、利益を得ていると警告を発した。ミャンマーの最も重要な銅鉱山では、非合法に自分たちの土地から連れてこられた何千人もの人々が動員され、深刻な環境リスクが無視され、また平和的な抵抗運動が暴力的に抑圧されている。

 不正行為の調査どころか、ある多国籍企業は英領ヴァージン諸島の不明瞭な信託ファンドを利用した投資の引き上げを行っていた。スキャンダラスな不正行為に直面した企業にとって、問題を正すのではなく、問題への曝露を極力減らすというのがモットーになっている。

 ニジェール・デルタ地帯の住民にとって、石油開発の半世紀がもたらしたものは彼らの農業や漁業の破壊に他ならない。今日まで、石油の流出事故はまったく止まないでいる。シェル石油の操業だけで、2014年には204回の流出事故が発生していた。シェル石油はサボタージュと盗難が問題だと述べているが、主要な環境汚染の原因は老朽化したパイプラインとメンテナンスが適切に行われていないインフラである。

 今年、ボドにあるコミュニティのひとつが、シェルによる大規模な石油流出の影響に対して8千億ドルの補償を命ずる判決を勝ち取ったが、これはイギリスにおける極めて長い裁判と、会社による虚偽の申し立てとの戦いの末であった。

 これらは、世界のリーダーが、企業セクターに対して融資の責任を持たせ、開発計画を実施させる計画を策定する際に熟考しなければいけない警告の物語である。これらすべてのケースで、政治と金融の権威は地域の人々が正義と説明責任にアクセスするさいのバリヤーを作っていた。

 政府は何十年も、人権が侵害されないことを保証するよう適切に規制するよりも、そこから逃れることにベストを尽くすような、企業の政治権力の増大を見守ってきた。

 企業のロビイストはその間、これらリスクを扱う重要な国際基準が完全に自主的なものに留まるように可能なことすべてを行ってきた。自主規制ルールや基準は、強制的な枠組みを持たず、企業の振る舞いを本当に変えるような力を欠いており、もし一度問題が発生すると、被害者をほとんど、あるいはまったく状況改善の望みがない状態に取り残してしまう。

 もし開発における企業セクターの投資が、単に企業の株主にとってではなく、それを必要とする人々にとって上首尾にすすむのであれば、国家は企業に対して門戸を開いておかなければならないだろう。持続的な開発に関する仕事から利益を得ようと望む企業は、人権に関わる問題について過去に問題を起こしていないか示す必要があるだろう。

 彼らは、人権侵害を引き起こさないことを保証する内部システムを持っていることを示す必要がある。企業は、地域コミュニティについて、権威者に払ったお金についてや、彼らに影響を与える地域での操業計画について、告知しなければいけない。

 重要なことは、政府が、問題が発生した時に企業に対して説明責任を要求する準備をしておくことである。国連の公的な援助目標額に五カ国を除いて到達していないということは恥ずべきことである。しかし、企業セクターに行動の自由を与えることで不足分を満たそうとするのは、すでに傷つきやすい共同体における人権侵害を導くのであり、これは持続的開発が癒すことを期待されている傷口に、かえって塩を塗りつけることに他ならない。


Savio Carvalho はアムネスティ・インターナショナル国際事務局(ロンドン)の国際開発と人権キャンペーン担当シニア・アドバイザーであり、20年にわたって南および中央アジア、東アフリカ、欧州に関する人権と開発の分野で働いてきた

[Resouce]
Opinion: Unrestrained ‘Privatisation of Poverty-Reduction’ Puts Human Rights at Risk

2015年7月17日金曜日

第3回開発資金国際会議終了、市民社会組織の多くは成果を批判

今週、エチオピアの首都、アディス・アベバで「第三回第3回開発資金国際会議」が開催された。
 国連は、会議の成功を主張するが、多くの市民社会組織は会議の成果は十分ではなかったと考えている。

国連は「アディス・アベバ・アクション・アジェンダ」(AAAA) が、歴史的な成果であり、特に11月に策定が予定されている国連持続的開発目標(SDGs)の実現の手段の基礎を提供するものだと主張している。

発展途上国からなるG77グループは、国際課税について、特に租税不正に実効的な新しいルールを策定できる、実行力のある新国連機関の設置に関する声明への署名を求めてきた。

この提案は、富裕国からなるOECD諸国の激しい反対に直面した。

ユーロダッド(債務と開発に関するヨーロッパ・ネットワーク)の声明は、「アメリカ、イギリス、日本の主導により富裕国が、政府間課税機関について議論することを拒否することによって、FfD合意全体を脅かしている」と批判している。

政策研究グループであるグローバル・ファイナンシャル・インテグリティは、租税回避や犯罪、腐敗などによって1兆ドル規模の不正な資金移動が、毎年貧困国から富裕国に流出していると考えられている。

G77諸国は、現在の国連税委員会を、より権力と資金をもち、各国が加盟する実行力のある政治機関にアップグレードすることを求めている。

提案は、南アフリカ共和国とエチオピアによって提出され、否決された。

OECDは声明の中で「税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」を基にした「包括的なプロセス」を支援すると述べている。これは、34のOECD諸国、G20グループ、および地域を考慮した20の発展途上国が参加して策定された。

OECDの事務局長アンヘル・グリアは「この議論はひとつの組織や別の組織についてのもの、というわけではない。むしろ全ての人のための機能することを確実にするためのものだ。この仕事に関する我々のいかなる進捗も、発展途上国と先進国の両方の国々の利益を発生させるだろう」と述べた。

南アの市民社会組織CIVICUSの事務局長であるダニー・シュリカンダラジャー博士は「今週、私たちはポスト第二次世界大戦の開発に関する世界秩序の、おわりのはじまりを目撃しているのです」と述べる。

富裕国は、公的な援助資金をこれ以上増大させる能力あるいは意思がないように見える一方で、
 「FfDプロセスは、貧困を終わらせ、国際金融システムの問題を解決する意味のあるステップを踏み出すのに必要な投資を可能にする資源を生み出せていないことに、我々は失望している」と、彼は水曜日に行われた会議を結論付けた。

「今回の成果は、例えば税制のような、我々が必要としている領域に関するものの再構成を扱っていません。税制こそがほとんどの市民社会が望んでいたものであり、開発を可能にするための資源を増大させるのに必要なものです」

[Resource]

Civil Society Sceptical Over “Action Agenda” to Finance Development

Development finance talks in Ethiopia close to collapse: charities

Posted by Eurodad on 2015年7月16日

2015年7月16日木曜日

日米豪の合同演習に反対するオーストラリア上院議員ら

 中央クイーンズランドで行われているアメリカ軍との合同演習は、オーストラリアの独立を傷つけ、隣国に間違ったメッセージを送るだけであり、放棄されるべきだ、と緑の党の上院議員は述べている。

 活動的な緑の党の指導者であるスコット・ラドラムは、演習には三万人のオーストラリア、米国両軍が参加しており「遠征戦争と侵略」のためのものであると述べている。彼はまた、ショールウォーター湾の演習場に侵入した平和活動家の支援もしている。

 「オーストラリア国防軍に加わっている人々のほとんどは、自分たちがオーストラリア領土を守るためにいると思っている」木曜日にブリスベーンで行われた平和会議の会場の外で、彼は述べた。

 「それは、訓練で実際おこなわれていることではない。おこなわれているのは、砂浜に上陸し、他人の国を侵略するための訓練だ。私は、中国との戦争を準備すべきだと思わない。」タリスマン・サーベル演習と呼ばれている隔年の作戦は、国防省によれば「ハイエンド」な戦争を両国軍が訓練することになっている。

 今年初めて、日本の自衛隊員がこれに参加したことが、地域的緊張を悪化させていると考える人もいる。

 「安全と持続可能性のためのノーチラス研究所」のリチャード・ターナー教授は、ダーウィン近郊でも行われる「戦争ゲーム」演習が、オーストラリアにとって最良の安全保障上の利益にかなわないという。

 「私が考えるに、この戦争ゲームはアメリカ合衆国だけでなく、日本との歓迎できない統合を進めることになります。日本の政権は、1945年の終戦以降最もナショナリスト的なのです」

 ラドラムは、このような献身は隣国に「武装せよ」という間違ったメッセージを送ることになるという。

 「私は、このような挑発に参加すべきであるとは思いません」と彼は言う。

 平和活動家たちはオーストラリア・アメリカ軍事同盟への直接の異議申し立てとして、ショールウォーター湾の演習場に侵入している。水曜日に現地で、三人のキリスト教活動家が逮捕され、今週末にはさらなる抗議活動が予定されている。

 ラドラムは、銃撃戦のなかに入り込むかもしれないというリスクを冒す抗議活動を支援している。

 「それは危険なことだと思います。つまり、銃弾が飛び交っている最中のエリアに入り込むことになります」

 「これはいかに人々が問題を深刻に捉えているか、ということであり、ゆえに彼らにとって良いのです」

[Resouce]
Joint military exercise Talisman Sabre is inflammatory, says Scott Ludlam

2015年7月15日水曜日

ローマ教皇、グローバル資本主義への反抗と債務問題への対処を求める


 グローバル資本主義に対して若者の反乱を促す最新の呼びかけは、グラスルーツ・グループからではなくカトリック協会の長からのものであった。日曜日、パラグアイの若者たちへの熱のあるスピーチの中で、教皇は「ひと騒ぎするとき」であると訴えた。

 一週間にいたる南米歴訪の最後の公演で、フランシスコ教皇は支配的な経済システムを「悪魔の糞」と名指し、制度的な「金への強欲」が「男女を奴隷化し、苦しめる」「狡猾な独裁」であると批判した。

 首都アスンシオンの郊外のパラグアイ川の川辺で開かれた日曜の集会で、アルゼンチン人の教皇は筋書きを離れて、数万人の若者たちに語り始めた。
 
「彼らはあなた方への私のスピーチを書いてくれました。しかし、それは退屈なものです」とフランシスコ教皇は述べた。「ひと騒ぎしましょう。しかし、それを片付ける手助けもしないといけません。この騒ぎは、私たちに自由な心をくれます。私たちに連帯をくれます。私たちに希望をくれます」

 彼は、列席者たちに、数日前にバナド・ノルテのスラム街であったような、より幸運ではない仲間について顧みることを求めた。また、真の自由と責任、尊厳ある生を導く権利のための戦いの必要性について語った。

「私たちは弱い若さなど求めない。私たちは簡単に諦め、退屈な顔で疲れ切って生きる若者を求めない。私たちは希望と力に満ちた若者を求めている」

 教皇フランシスコの南米訪問は多くの人が「極めて先進的」と称賛する教皇回勅の一週間後に行われた。回勅の中で教皇はカトリック協会の指導者たちに気候変動に立ち向かうことは道徳的義務であると述べている。

[Resource]
Pope Calls on World Youth to Rise Up Against Global Capitalism


 フランシスコ教皇はラテンアメリカ歴訪を終えた記者会見で、国際的な「破産プロセス」が必要であると提唱した。

 「もし会社が倒産を宣告できるのであれば、なぜ国家がそうして、私たちがそれを助けにいく、といったことができないのでしょう?」と教皇はギリシャ債務危機に関する質問への答えの中で述べた。

 彼はまた、多くの国が課題な債務に苦しんでおり、国連が提唱したような破産の方法が必要であるとも述べた。この考え方は2014年9月に国連総会で承認されたものである。

 この提案はこの数カ月でより詳細に検討されており、またIMF(国際通貨基金)も2013年から、不平等(格差)の原因としての債務という観点から、破産プロセスの検討を進めている。

 世界銀行の統計によれば、50ほどの国がギリシャと同様の債務危機に直面しており、世界の債権市場における急激な利率の上昇や経済停滞の可能性といったストレスにさらされている。

 2012年以降、特にアフリカ諸国で主権者債務の急速な増大が見られている」とシンクタンク「海外開発研究所」のジュディス・タイソンは指摘している。一方で、グレンイーグルスG8で各国首脳が署名した債務救済プログラムの成功例になった国々もある。「前に進むためにクリーンな国にするというアイディアと共に、債務救済を受けた国々です」とタイソンは述べる。

[Resource]
Pope Francis Calls for Global Bankruptcy Process

アメリカ、遺伝子組替え食品の表示義務を禁止する法案が下院委員会を通過


 2015年6月14日、議論もなく、発声採決のみで、アメリカ合衆国下院農業委員会は、州が遺伝子組替え食品の表示義務を課す法律を無効にする法案を通過させた。エネルギー・商業委員会の採決はなく、法案は来週にも本会議に送られる。
 もし阻止できなければ、通称「すべてのモンサント保護法の母」が下院を通過し、舞台は夏が終わる前に上院に移る。
 委員会の前の公聴会で、食料・農業セクターの何人かの代表が、もし50の州、3000の郡、および20,000の市が彼ら自身の規制法を作ったら、それに対応するコストは膨大なものになるだろう、と述べた。
 一方、独立した専門家は幾度どなく、遺伝子組み換えへのラベリングのコストは、すでに60以上の国々がラベリングを義務付けており、これをアメリカで実施しても実際は無視できる程度のコストであると説明した。

[Resouce]
House Ag Committee Says ‘No’ to GMO Labeling, What’s Next?

「開発のための金融に関する国際会議」と国連持続的開発目標

現在策定中の「持続的開発目標」(SDGs)についてどのような議論が行われているかの一例となる記事を紹介する。ここで紹介するのは、主に世界銀行やIMFのような国際機関からのものであり、グラスルーツの社会運動からは大きな批判が寄せられている類のものであるが、批判的に検討する一助としてここに紹介する。

7月13日から第三回「開発のための金融に関する国際会議」がエチオピアの首都アディス・アベバで開催されている。主要な議題は、現在国連が策定中の野心的な貧困削減目標である「持続的開発目標」(SDGs)に関するものである。

会議前夜の7月10日、主要な開発銀行は共同で、三年間で4000億ドル、国連の持続的開発目標(SDGs)のための勇姿を拡張する計画を発表した。

先週末に発行されたプレスリリースの中で、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行、米州開発銀行、世界銀行グループ(しばしば国際開発金融機関(MDBs)と総称される)はIMF(国際通貨基金)と共に、「民間および公的なパートナーとより緊密に、持続的開発目標(SDGs)の達成という歴史的挑戦に必要な資源を動員するのを助けるために働いていくことを誓約」している。

IMF専務理事クリスティーヌ・ラガルド氏はワシントンで8日、持続的な成長を促進するために、IMFが発展途上国の資金調達を増大させることを発表した。

IMFの理事会で承認されたこの変更は、開発途上国に対する譲許的融資を50パーセント増大させるものである。

さらなる援助が貧困で不安定な国々を対象に行われる。また、IMFは自然災害の発生した弱い国々に対するゼロ金利での早期貸付も管轄することになる。

ラガルド氏は三つの重要な会議、エチオピアで行われている融資に関する会議、11月にニューヨークで行われる国連サミット、パリで年末に予定されている気候変動枠組条約会議に言及し、これらは、IMFを含む国際コミュニティにとって、SDGsを達成するために発展途上国を援助する「機会を提供してくれる貴重な窓」である、とラガルド氏は述べた。

「これらの三つは私たちが曲を変えるのを助けてくれます。」と彼女は述べた。「私たちは、共同で新しいアプローチを選ぶ機会を持っているのです」

最初にリオ+20サミットで姿を現し、SDGsでは現在、貧困と不平等の削減、気候変動への取り組みなど17の目標が設定されている。これらは、次の15年間で国連加盟各国が国家政策として取り組む、グローバルな青写真を構成することが期待されている。

これらの目標は、2000年に、貧困に関する八つの目標として設定され、今年期限を迎える国連ミレニアム開発目標(MDGs)を引き継ぐものとなる。

多くの人が、SDGsは範囲が広すぎ、コストもかかりすぎると危惧している。

国連は2014年8月に、持続的開発のための金融に関する専門家による政府間委員会から、SDGs目標の一つである「すべての国からの極端な貧困の根絶」のためには毎年660億ドル前後の資金が必要であると報告を受けている。

「気候と調和した」シナリオの達成のための投資コストは毎年数兆ドルになる。

経済社会問題担当の呉紅波国連事務次長は4月18日に出版されたIMFの調査の中で、SDGsを達成するコストはMDSs を上回るものになるだろうと述べている。

「貧困の根絶に加えて、このアジェンダは経済、社会、環境の諸問題をカバーしています。この実施には膨大な額の金融資源が必要になるでしょう」と彼は述べている。

SDGsの金融面での実施には、国際援助のほかに、民間資源、パートナーシップ、およびメカニズムのイノベーションが必要になる、とレポートは述べている。

しかし、国際援助は未だ、低開発国、特にアフリカ諸国と内陸国にとって重要である。

1970年に、先進国は国民総所得(GNI)の0.7パーセントをODA(政府開発援助)に支出するという目標が合意された。しかし、OECD(経済協力開発機構)加盟国中、5カ国のみがこの目標を満たしている。

開発途上国にとってODAは経済発展と福祉のための資源移動の方法である。

ワシントンにあるグローバル開発センターのシニアフェロー、チャールズ・ケネディは7月7日のブログで、開発援助だけではSDGsのための数兆ドルの資金はうごかせない、と指摘している。

「真実は、開発はもはやほとんど援助の問題ではないということである」と彼は述べる。

彼は、各国政府の貸付やほかの収益になる金融資源のほか、海外で生活する移民からの送金、海外直接投資、開発途上国への民間からの貸付などについて述べている。

IMFはこれらの国々への貸付、支援、助言などを提供することで目標に貢献できるだろう。

ラガルド氏は発展途上国の税率を上昇させるといった方法を通じて、税収を上昇させることに注力できる、と述べた。彼女によれば、OECD加盟国の平均的な税収(DGP費)が34パーセントなのに対して、途上国の平均は15パーセントであるという。

「単純、公平で包括的な制度によって集められたお金を、正しい政策に従って使うことが、ゲームを変えます」と彼女は述べる。

 腐敗と戦い、補助金を削減することで非効率を排除することもIMFのもう一つの目標である。約30パーセントの公的支出が、公的投資プロセスのなかで非効率のために失われている、と彼女は述べる。

「彼ら(発展途上国)は彼ら自身でそれを行えません」と彼女は述べる「もし、国際コミュニティがこれらの努力に参加すれは、より一層多くのことができるでしょう」

By Zhai Yun Tan

[Resouce]

IMF Steps Up Lending to Achieve Sustainable Development

2015年7月14日火曜日

「人権のための医師」声明:司法省はアメリカ心理学会が拷問プログラムで果たした役割を調査すべきだ

「人権のための医師」(PHR)はアメリカ心理学会がブッシュ政権に協力し、拷問プログラムのデザイン、実施および防衛に アメリカ合衆国の拷問プログラムに対して果たした役割に対する連邦の刑事捜査を要求している。

2014年に、アメリカ政府とアメリカ心理学会の間の、ブッシュ政権の拷問プログラムに対する見せかけの法的、倫理的正当化を提供する秘密の取り決めを描いた『いかなる代価も払え: 強欲、権力と終わりなき戦争』で、ニューヨーク・タイムズの記者ジェームズ・ライゼンが共謀関係の詳細を告発した後、アメリカ心理学会は元連邦検察官のデヴィッド・ホフマンに独立レビューを委託した。拷問プログラムは、医療の専門家に、虐待的な捜査のモニタリングを行い、それらが「安全、効果的で合法」であることを主張しようとしていた。

内部文書やドキュメントのレビューとインタビューに基づいたホフマンの報告書は、アメリカ心理学会スタッフと役職者による犯罪的行為の膨大な証拠を明らかにした。それには、以下のようなものが含まれる。

1. 国防総省、CIAや他のブッシュ政権の部局との共謀により、ポスト911拷問プログラムの設計、実施および防衛に心理学者が参加可能なようにしていた。


2. 軍と諜報関係者が拷問プログラムのなかでの彼らの役割を「カバー」されることを確実にするように、彼らの活動を規制するアメリカ心理学会倫理ポリシーを書きなおすことを許していた。

3. こういった共謀関係を隠蔽し、アメリカ心理学会内のそういったポリシーに反対する試みをブロックする組織的活動に関与していた。

4. 拷問プログラムに関与した心理学者に対する調査を操作し、妨害した。

「人権のための医師」はアメリカの拷問プログラムにおける医療専門家の非合法で非倫理的な参加についての「人権のための医師」による10年にわたる調査から見出された事実が、別の調査からも確認されたのだ、と述べている。

[Resource]

U.S. Justice Department Must Investigate American Psychological Association’s Role in U.S. Torture Program

2015年7月10日金曜日

米軍、ヒューマン・テレイン・システム(HTS)計画を中止

 US Today 誌の報道によれば、アメリカ軍はヒューマン・テレイン・システム(HTS)計画を昨年秋に終了していたことを明らかにした。

同計画は、アフガニスタンやイラクなどの戦闘地域に展開するアメリカ軍に社会科学者が同行することで、民間人に対する無用の殺戮を回避するというものであった。
 2007年から2014年の間に、HTSには7億2600万ドルが投入された。
 原因としては、セクシャル・ハラスメントや、勤務時間の不正申告などが多発したことがあげられている。

また、この計画に関してはアメリカ人類学会などが研究倫理の面から懸念するレポートを発表し、中止を勧告していたため、同学会はこの中止という結論を歓迎している。

1960年代、米軍は「プロジェクト・キャメロット」と名付けられたプログラムのなかで、文化人類学者を雇用し、中南米を中心とした第三世界の反乱鎮圧プログラムに使うことを計画した。
 研究がこういった形で利用されることへの危惧から、アメリカ人類学会はこうした研究に会員が参加しないという決議を採択した。
 HTSに関しては、軍は直接的な軍事行動に使うのではなく、むしろ住民の命を保護することが目的であるから、プロジェクト・キャメロットとは事情が異なると考えていた。
 しかし、全米人類学会のレポートは、結局のところHTSで収集されるデータは反乱鎮圧にも使えるものになり、この業務に従事する人類学者は研究倫理綱領と業務の間に深刻な問題を発生させるだろう、としていた。

[Resource]
Army kills controversial social science program

AAA Applauds Decision to End Controversial HTS Program

CEAUSSIC Releases Final Report on Army HTS Program

バーニー・サンダース上院議員、大統領選で好調な発信

 バーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州選出)がウィスコンシン州マディソンで行った演説会には、一万人を超える聴衆が詰めかけ、今回の大統領指名レースで今までのところ最大規模の集会になった。
 サンダースは、地元バーリントン(ヴァーモント)やデンヴァー(コロラド)でも5000人規模の集会を開いており、強い動員力を見せている。
 ヒラリー・クリントン元国務長官がニューヨークで開催した集会の参加者は5500人にとどまっている。また、共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)がリバティー大学(ヴァージニア州)で開いた集会は11000人を集めたが、この殆どは強力な学生組織の動員によるもので、自主的な参加がどれだけあったかは疑わしい。

 バーニー・サンダースは「民主社会主義者」を自称する、アメリカではめずらしい無所属の上院議員である。上院では基本的に民主党に同調して行動することが多いが、その主張は環境や貧困の問題などに関して、アメリカの政治家としては極めて左派的なものである。通常、左派候補が大統領指名選挙で善戦することはないが、今回、世論調査では、首位のクリントンとの差は明白であるものの、バイデン副大統領をわずかに抑えた二位につけている。

 マディソンは、2011年の、学校の経費削減や組合つぶしの法律を連発するスコット・ウォーカー知事(共和党)対する大規模な反対行動、いわゆる「ウィスコンシンの春」の中心地になったところである。
 この運動は成功を収め、知事のリコールに成功するが、知事は出直し選挙で当選する。リコールされた知事が出直し選挙で当選するのは合衆国史上初のことであったらしい。これは、2012年の大統領選を控えて、過度な「左傾化」を恐れた民主党本部が、ウィスコンシンの民主党グループに対して支援を手控えるように支持したことも一因であると言われている。このことから、地元の民主党支持層にサンダースへの支持が広がっているものと思われる。

 また、大統領予備選が最初に開かれるため重要視されるアイオワ州の調査では、サンダースの支持は33パーセントに上昇しており、クリントンとの差を着実に縮めている。


[Resouce]
Bernie Sanders’ 10,000-person crowd in Madison biggest of any Candidate so Far

Bernie Sanders draws biggest crowd of any 2016 candidate yet

バーニー・サンダース上院議員、2016年大統領選、民主党候補者予備選のダーク ホースか?

2015年7月9日木曜日

ドローンが暴く養豚工場の秘密


 ドローンを使って、ノースカロライナ州の養豚場を空撮している。ブタ自体は室内の畜舎で飼われており、コンクリートの床の糞尿は水で洗い流され、畜舎の外に併設された巨大なプールに集められる。糞尿のプールは、フットボールコート四つぶんもある巨大なものである。こういった形の養豚場は、ノースカロライナだけで2,000個ほどある。
 プールの糞尿は乾かすために、巨大なスプリンクラーで霧状にして噴出される。糞尿の霧は、近隣の住民の生活を脅かしている。一般に、そういった地域では、特に子どもに喘息などが多い。これは一種の「環境レイシズム」である。

[Rerouce]
factoryfarmdrones.com