2015年7月10日金曜日

米軍、ヒューマン・テレイン・システム(HTS)計画を中止

 US Today 誌の報道によれば、アメリカ軍はヒューマン・テレイン・システム(HTS)計画を昨年秋に終了していたことを明らかにした。

同計画は、アフガニスタンやイラクなどの戦闘地域に展開するアメリカ軍に社会科学者が同行することで、民間人に対する無用の殺戮を回避するというものであった。
 2007年から2014年の間に、HTSには7億2600万ドルが投入された。
 原因としては、セクシャル・ハラスメントや、勤務時間の不正申告などが多発したことがあげられている。

また、この計画に関してはアメリカ人類学会などが研究倫理の面から懸念するレポートを発表し、中止を勧告していたため、同学会はこの中止という結論を歓迎している。

1960年代、米軍は「プロジェクト・キャメロット」と名付けられたプログラムのなかで、文化人類学者を雇用し、中南米を中心とした第三世界の反乱鎮圧プログラムに使うことを計画した。
 研究がこういった形で利用されることへの危惧から、アメリカ人類学会はこうした研究に会員が参加しないという決議を採択した。
 HTSに関しては、軍は直接的な軍事行動に使うのではなく、むしろ住民の命を保護することが目的であるから、プロジェクト・キャメロットとは事情が異なると考えていた。
 しかし、全米人類学会のレポートは、結局のところHTSで収集されるデータは反乱鎮圧にも使えるものになり、この業務に従事する人類学者は研究倫理綱領と業務の間に深刻な問題を発生させるだろう、としていた。

[Resource]
Army kills controversial social science program

AAA Applauds Decision to End Controversial HTS Program

CEAUSSIC Releases Final Report on Army HTS Program