2015年7月2日木曜日

国連人権問題独立専門家のギリシャ国民投票に関する声明


6月30日、アルフレッド・デ・ザイアス氏(民主的で公平な国際秩序の促進に関する独立専門家)とヴァージニア・ダンダン氏(人権と国際連帯に関する独立専門家)はギリシャの国民投票を歓迎する声明を発表した。
 ふたりの専門家は、6月初頭に国連独立専門家ファン・バブロ・ボホスラブスキー氏によって出された声明に呼応して、債務返済という義務よりも重要な論点があるということを強調した。

[Resource]
UN human rights experts welcome Greek referendum and call for international solidarity

すべての人権に関する機関とメカニズムはギリシャの国民投票を、市民的及び政治的権利に関する国際規約1条と一致し、かつ公的参加を規定した25条を履行するものとして、ギリシャの人々の自己決定権の説得力のある表現として、歓迎すべきである。実際、民主的で公平な国際秩序は、すべてのステークホルダーの政策決定プロセスへの参加と、適正な手続き(デュープロセス)の尊重を要求する。それらは、金融危機を含めたすべての問題の解決に対して、国際連帯と人権というアプローチを通すことによって最もよい形で達成できる。

IMFと欧州連合が、さらなる退行的な緊縮経済措置を要求しない解決法にたどり着かなかったことは残念である。各国首脳の一部は、ギリシャの国民投票という考え方に失望を表明している。何故だろうか? 国民投票は伝統的に最良の民主的ガバナンスである。

ギリシャ首相以外の誰も、さらなる失業と社会的困窮をもたらすようなギリシャ民主制を瓦解させない公正な解決策のための交渉という明白な責務を課して彼を選出した民衆に対して、首相が示した取り組みを放棄させることはできない。

ギリシャの民衆にさらなる緊縮政策を押し付ける最後通牒に屈服することと、有権者からギリシャ首相に与えられた民主的信託とは相容れないものだ。本質的に、すべての国はその支配下に住むすべての人々の福祉を守る責務を持っている。これは、別の国家なり国際機関なりといった外部からかき乱されてはならない支配空間と財政および予算上の主権を包含する。

国連憲章103条は、この憲章の条項が他のすべての国際条約に優先されると述べている。したがって、いかなる条約や融資協定も、加盟国に対して、その国の人々の市民的、文化的、経済的、政治的および文化的権利を侵害するように強いることはできないし、国家主権を無効にする融資協定もあり得ない。このように人権と慣習的国際法に反する行為を求めているいかなる協定も、条約法に関するウィーン条約53条にしたがって「良俗に反するが故に無効」である。

 民主的で公平な国際秩序は、すべての人権を達成することを促進するような商業的、金融的な体制を要求する。

対外債務は人権に抵触すること、あるいは経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第2条およびだい第5条違反という退行を引き起こすことの理由にはならない。

 2013年に、対外債務と人権に関する独立専門家は、IMF(国際通貨基金)、欧州委員会および欧州中央銀行からの追加融資を確定するために受け入れる緊縮財政が、ギリシャ経済に不況をもたらし、これまで享受されていた人権状況、特に経済的、文化的、社会的な諸権利を毀損すると指摘していた。

 今こそ国際社会はギリシャの人々に対しての連帯を実演し、国民投票で表明される彼らの民主的意思を尊重し、彼らの責任ではなく、主に2007年から08年にかけての金融メルトダウンによって引き起こされた金融危機から彼らを救済する積極的な行動に出るべき時である。

 実際、民主制とは自己決定権であり、自己決定権は国民投票を招来するものであり、これはギリシャも例外ではない。