2015年6月12日金曜日

スペイン:「広場占拠運動」の活動家がバルセロナ市長に

※先に行われたスペイン統一地方選の情報を、許可を得て転載します。

5月24日にスペインで一斉地方選挙が実施され、左派政党「ポデモス」と、ポデモスの支持を受けた地域政党が躍進した。
 二大政党の人民党と社会党は得票率をそれぞれ、前回(11年)の37%、27%から27%、25%へと減らした。初めて一斉地方選挙に参加したポデモスは(単独ではなく他の左派政党との連合で)、約14%を得た。

前回の地方選挙では、経済不振と社会党への不満の高まりの中で人民党が圧勝した。今回の選挙で人民党のラホイ首相は経済回復の予想を強調し、未知数の左派政党に経済運営を任せることはできないと訴えた。しかし、人民党は議席数を大幅に減らし、多くの州や都市でポデモスや市民党が議会においてキャスティングボートを握ることとなった。

カタロニア州の州都バルセロナ(人口160万人)では、11年の広場占拠運動や住宅占拠運動の活動家のアダ・コラウさん(41歳)が市長に選出された。コラウさんは地域政党「バルセロナ・エン・コム(みんなのバルセロナ)」の代表で、住宅強制退去をやめる、公営住宅を増やす、富を再分配する等の公約を掲げた。
 首都マドリードでは人民党が第一党を維持したが、僅差で第二党となった「アオラ・マドリード(今日のマドリード)」のマヌエラ・カルメナさん(71歳)が6月の市議会で市長に選出される可能性がある。同党も広場占拠運動の活動家によって結成された地域政党でポデモスの支持を受けている。

第三の都市バレンシアでも左派政党の連合が成立すれば左派の市長が誕生する。
 英国「ガーディアン」紙は次のように報じている。
 「マドリードとバルセロナでの左派連合の躍進が示唆(しさ)することは、今後スペインの二大都市における政策課題がスペインの『怒れる者たち』の運動をルーツとする反既成勢力の政党の優先課題によってけん引されるということである。
 年末に実施される総選挙を前に、今回の選挙は有権者たちのムードをテストするチャンスだった。示されたメッセージは明確だった。スペインの人々は、フランコ独裁体制の終焉(えん)以降のスペインの政治を特徴づけてきた二大政党による支配を終わらせることを支持した」 (同紙5月25日付)。

米国の公共ラジオ放送NPRによると、「この数日、スペインでもっとも頻繁(ひんぱん)にツイッターで転送されている画像は、13年6月に警官隊がアダ・コラウさんを逮捕している写真である。コラウさんをはじめとする反貧困デモの参加者が、住宅からの退去強制に反対してバルセロナの銀行を占拠しようとしていた時の写真で、『歓迎、新市長』というメッセージが添えられていた」 (同25日付)。

コラウさんは住宅強制退去に反対する直接行動で数十回警察に拘束されている。2年前には国会の公聴会で住宅強制退去の問題について証言し、同席した金融産業の代表を激しく非難し、議会による懲罰を受けた。この証言によって彼女は緊縮政策と失業に苦しむ多くの人々の共感を得た。彼女は広場占拠運動に先立つ09年から、住宅強制退去に直面している人たちを支援するグループ、PAHを結成して活動を始めてきた。

今回の市長選挙に向けて、「バルセロナ・エン・コム」のほか、「ポデモス」、「カタロニア緑の党のためのイニシアチブ」、「統一オルタナティブ左翼」などの政治グループや市民団体が力を合わせた。
 同24日夜、コラウさんは選挙本部前で支持者たちを前に、「ダビデがゴリアテに勝ったのだ」と語った。また、オーストラリアの「リンクス」誌のインタビューに答えて、「……選挙運動はこのような『民主主義革命』の流れの中で形成された。私たちは誇るべきである。他の国だったら反応は全く違っていただろう。しかし市の政治は歴史的に、下から上へ、人々に近い所から破裂が起こる場所なのだ」と述べている。

“翻訳:喜多幡佳秀、「労働情報」誌6月15日号より”

2015年6月8日月曜日

ファイナンシャル・タイムスにスティグリッツら著名な経済学者らのギリシャ債務問題に関する声明

2015年6月5日付のファイナンシャル・タイムスに、「最後の瞬間に、経済的平静と人道を求める請願」"In the final hour, a plea for economic sanity and humanity"と題され、世界の著名な経済学者など26名が署名している声明が発表された。
 この声明は、ギリシャのSyriza政権と、債務問題をめぐって対立を続けるEU指導者に対話と譲歩を求めるもので、ノーベル賞経済学者ジョゼフ・スティグリッツ、拡大する格差についての著作『21世紀の資本』が世界的な大ベストセラーになったトマ・スティグリッツ、元イタリア首相マッシモ・ダレマ(共産党→オリーヴの木)らが署名している。
 経済学者らは、声明の中で、緊縮財政と「改革」を区別する必要があると述べ、緊縮財政が人々の生活に厳しい影響を与えることを警告し、EUがSyriza政権に対して求めている、厳しい緊縮政策を含む財政再建案を再考することを求めている。
オルタグローバリゼーション運動という観点からは、ATTACフランスの学術委員会メンバーでもあるドミニク・プリオン(パリ大学)が参加しているのが注目される。

トルコ総選挙、与党AKP(公正発展党)が議席を減らし、左派HDP(人民民主主義党)が躍進: エルドアン政権に打撃

6月7日に投開票が行われたトルコ総選挙(定数550)は、エルドアン大統領の与党AKP(公正発展党)が憲法改正発議が可能になる330議席を確保するかが焦点になっていたが、大幅に議席を減らして258議席にとどまった。エルドアン政権が目標としていた大統領権限の強化に、国民がノーを突きつけた形である。
 一方、野党は議席を伸ばしたが、中でも50議席増の議席増の79議席を獲得したHDP(人民民主主義党)が注目される。HDPは、クルド人系の人々を支持基盤にした左派政党である。
HDPはクルド系住民に支持基盤を持つとはいえ、女性やLGBPの権利にも力を入れており、その基本政策には最低賃金政策や若者の失業問題、水道と電気の基本料無料パッケージ、教育と医療アクセスの無償化、そして平和運動(アルメニアとの交易停止措置の解消などを含む)が並んでいる。EU加盟については追求するとしているが、(Syriza同様)そのネオリベラルな政策には懐疑的である。信教の自由の追求と、国民のイスラム信仰を監視する政府機関の廃止も約束している。
クルド問題については民族アイディンティティの権利を認めることや、クルド人地区の自治権を認めることなどが目標となっている。(政策については"Turkey gets a taste for European-style radicalism ahead of election" を参照した)。
多様性に寛容な政策が、本来の支持基盤であるクルド人や左派のみならず、オキュパイ・ゲジ(2013年に起こったタクスィム・ゲジ公園再開発などに抗議して発生した若者たちの反政府運動)に参加したような若者たちの支持を、HDPに向かわせたようである

2015年6月4日木曜日

中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)がなぜ世界に受け入れられたか?

日本でもAIIBに加盟するか否かを巡って大きな議論が起こった。結果的にはBRICS諸国やアジアの主要国のみならず、アメリカと日本を除く西側諸国も多く参加しての発足となった。
  先進国の開発政策を激しく批難してきた左派シンクタンクであるフォーカス・オン・グローバル・サウスの国際政治学者で、前フィリピン国会議員でもあるウォールデン・ベローの議論を紹介する。
 ベローは、世界銀行とIMFが先進国の利益と古典的な緊縮政策を支持する経済学者に支配されており、第三世界諸国が求めている改革がまったく実施されてこなかった、というところに本来の原因を求めている。
 世界銀行はアメリカのための機関と考えられており、日本が支配するアジア開発銀行も、アジア諸国から見ると実質的にアメリカの政策に従属的である、とみなされている、とう指摘である。
 両機関においてクォータの調整などの改革は行われているが、これらは中国を筆頭とする第三世界諸国を満足させるものではなかった、というわけである。
 ここでは触れられていないが、故ウゴ・チャベス前ベネズエラ大統領らが主導した「南の銀行」(Banco del sur)も同様の問題意識のもと、設置された。
  AIIBが開発を進める際に、環境や貧困、人権の問題をどう扱うかは現在のところ未知であるが、AIIBへの参加とは別に、民主制や透明性において、世銀、IMF、および日本が主導権を握るアジア開発銀行の改革をどう進めていけるか、ということが問われているのである。

2015年5月27日水曜日

ギリシャ「債務の真実」委員会発足


1. ギリシャ「債務の真実」委員会発足について
2. ギリシャ国会議長ゾエ・コンスタントプロウ演説
3. CADTM代表エリック・トゥサン演説

2015年3月14日土曜日

2015年の世界社会フォーラムは再びチュニスで


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2015年の世界社会フォーラムは2013年に続いて、北アフリカ、チュニジアの首都チュニスで行われます。「アラブの春」による民主化が各国で後退し、軍政の復活やイスラム原理主義の勢いが強まる中で、アラブの春の起点となったチュニジアは着実に民主化の歩みを進めています。そうしたチュニジアの人々との連帯のため、再びチュニスでの開催が決定されたものです。

会期は2015年3月24日から28日まで。また、前後に社会運動団体ネットワークの会合やテーマ別の会議など、様々な集まりが行われる予定です。

ウォールデン・ベロー、フィリピン代議院議員を辞任


Walden

報道(Walden Bello cuts ties with Palace over Mamasapano ‘cover-up’)によれば、南北問題に関する著名なシンクタンクであるフォーカス・オン・ザ・グローバルサウスの代表であり、数々の著作で有名なフィリピンの政治学者ウォールデン・ベローが、2期6年にわたって務めた代議院議員を辞任したもよう。