2015年7月9日木曜日

ドローンが暴く養豚工場の秘密


 ドローンを使って、ノースカロライナ州の養豚場を空撮している。ブタ自体は室内の畜舎で飼われており、コンクリートの床の糞尿は水で洗い流され、畜舎の外に併設された巨大なプールに集められる。糞尿のプールは、フットボールコート四つぶんもある巨大なものである。こういった形の養豚場は、ノースカロライナだけで2,000個ほどある。
 プールの糞尿は乾かすために、巨大なスプリンクラーで霧状にして噴出される。糞尿の霧は、近隣の住民の生活を脅かしている。一般に、そういった地域では、特に子どもに喘息などが多い。これは一種の「環境レイシズム」である。

[Rerouce]
factoryfarmdrones.com

2015年7月6日月曜日

国連加盟国193カ国中96カ国でなんらかの形での民主制の後退を確認


南アフリカ共和国に拠点をおく、国際的な市民団体のアライアンスである CIVICUS の調査によると、国連加盟国193カ国中96カ国でなんらかの形での民主制の後退が確認できるという。
 同団体は、特にアフリカ、中東地域で問題が深刻であるとしている。

Democracy on the Retreat in Over 96 of the 193 U.N. Member States, Says New Study | Inter Press Service

CIVICUS CIVIL SOCIETY WATCH REPORT JUNE 2015


マップ上で各国をクリックすると、問題とされた状況が確認できる。
Civil Society Watch Report 2015 -

ギリシャ総選挙 緊縮受け入れ側の国内のテレビ局への指示書がリーク


緊縮受け入れを主張していたギリシャのサマラス前首相が率いる新民主主義党(ND)が、国内最大のテレビ局に対して、国民投票で Yes への投票に誘導するように支持する文書を送付した、とFacebook 上で告発されている。
 文書は「怯えている女性や年金生活者」に「銀行に並ぶ人の列」を見せることで、Yes に追加の5-10パーセントを捻出することが可能であると論じている。



 真偽は必ずしも明らかではないが、文書は、No に投票するグループを 生産年齢(25-55、特に35-45)に属する都市中心部の住民で、2015年総選挙でSyriza に投票した層であると分析している。
 一方で、Yes 派の中心はは農村部に住む年金受給者であると考えてる。
 また、揺れているグループは、若い女性(18-25)で、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の支持から SYRIZA に支持を移した人々である。

その上で、No に傾いている人の中で、もともとPASOKを支持していた層が No に転じる可能性が高く、そこにリーチする言葉を選ぶ必要があると論じている。
 彼らがNDの政治家たちの説得を聞く可能性は低く、これは党派的な運動ではなく国民的な問題であることを強調すべきだとした上で、アテネとテッサロニキの両市長がデモなどでの緊縮アピールの先頭に立つとしている。
 また、テレビにはSYRIZAの政治家との討論を放送する際に、NDの政治家ではなく、ジャーナリストや産業界の代表を対比せるべきだとしている。

また、ユーロ対ドラクマ、チプラス対非政治家といった対比は Yes に誘導し、欧州対ギリシャ、チプラス対サマラスといった構図は No を導くと分析している。
 そのため、 Yes に誘導するために、ヨーロッパ圏内の、ユーロとともにある生命、尊厳、安定性、といったメッセージを伝えることとしている。

反対票のみごとな勝利 エリック・トゥサン(ギリシャ債務真実委員会科学コーディネーター ) コメント

ギリシャは7月5日、総選挙を実施し、IMFらが提案する緊縮財政案のこれ以上の受け入れに対して、No の投票が60パーセントを超え、事前の予想を超える大差で否決された。投票率は60パーセントを超え、規定の40パーセントを上回った。このため、国民投票の結果としてチプラス政権の主張通り、緊縮案が拒否されることになった。
 この結果について、ギリシャ債務の真実委員会の科学コーディネーターを務めているエリック・トゥサンのコメントが発表されたので紹介する。

【速報】ギリシャ、ヴァルファキス蔵相辞任を発表

ギリシャ国民投票で緊縮案受け入れが拒否された後、同国のヴァルファキス蔵相が自身のブログで辞任を発表した。
 国民の決断を支持するとともに、債権者の敵意を集めすぎたので、交渉者を変えて挑んだほうが政権にプラスと判断、と説明している。

Minister No More! | Yanis Varoufakis

2015年7月2日木曜日

国連人権問題独立専門家のギリシャ国民投票に関する声明


6月30日、アルフレッド・デ・ザイアス氏(民主的で公平な国際秩序の促進に関する独立専門家)とヴァージニア・ダンダン氏(人権と国際連帯に関する独立専門家)はギリシャの国民投票を歓迎する声明を発表した。
 ふたりの専門家は、6月初頭に国連独立専門家ファン・バブロ・ボホスラブスキー氏によって出された声明に呼応して、債務返済という義務よりも重要な論点があるということを強調した。

[Resource]
UN human rights experts welcome Greek referendum and call for international solidarity

すべての人権に関する機関とメカニズムはギリシャの国民投票を、市民的及び政治的権利に関する国際規約1条と一致し、かつ公的参加を規定した25条を履行するものとして、ギリシャの人々の自己決定権の説得力のある表現として、歓迎すべきである。実際、民主的で公平な国際秩序は、すべてのステークホルダーの政策決定プロセスへの参加と、適正な手続き(デュープロセス)の尊重を要求する。それらは、金融危機を含めたすべての問題の解決に対して、国際連帯と人権というアプローチを通すことによって最もよい形で達成できる。

IMFと欧州連合が、さらなる退行的な緊縮経済措置を要求しない解決法にたどり着かなかったことは残念である。各国首脳の一部は、ギリシャの国民投票という考え方に失望を表明している。何故だろうか? 国民投票は伝統的に最良の民主的ガバナンスである。

ギリシャ首相以外の誰も、さらなる失業と社会的困窮をもたらすようなギリシャ民主制を瓦解させない公正な解決策のための交渉という明白な責務を課して彼を選出した民衆に対して、首相が示した取り組みを放棄させることはできない。

ギリシャの民衆にさらなる緊縮政策を押し付ける最後通牒に屈服することと、有権者からギリシャ首相に与えられた民主的信託とは相容れないものだ。本質的に、すべての国はその支配下に住むすべての人々の福祉を守る責務を持っている。これは、別の国家なり国際機関なりといった外部からかき乱されてはならない支配空間と財政および予算上の主権を包含する。

国連憲章103条は、この憲章の条項が他のすべての国際条約に優先されると述べている。したがって、いかなる条約や融資協定も、加盟国に対して、その国の人々の市民的、文化的、経済的、政治的および文化的権利を侵害するように強いることはできないし、国家主権を無効にする融資協定もあり得ない。このように人権と慣習的国際法に反する行為を求めているいかなる協定も、条約法に関するウィーン条約53条にしたがって「良俗に反するが故に無効」である。

 民主的で公平な国際秩序は、すべての人権を達成することを促進するような商業的、金融的な体制を要求する。

対外債務は人権に抵触すること、あるいは経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第2条およびだい第5条違反という退行を引き起こすことの理由にはならない。

 2013年に、対外債務と人権に関する独立専門家は、IMF(国際通貨基金)、欧州委員会および欧州中央銀行からの追加融資を確定するために受け入れる緊縮財政が、ギリシャ経済に不況をもたらし、これまで享受されていた人権状況、特に経済的、文化的、社会的な諸権利を毀損すると指摘していた。

 今こそ国際社会はギリシャの人々に対しての連帯を実演し、国民投票で表明される彼らの民主的意思を尊重し、彼らの責任ではなく、主に2007年から08年にかけての金融メルトダウンによって引き起こされた金融危機から彼らを救済する積極的な行動に出るべき時である。

 実際、民主制とは自己決定権であり、自己決定権は国民投票を招来するものであり、これはギリシャも例外ではない。

2015年7月1日水曜日

第二次世界大戦時、アメリカ軍による化学兵器の人体実験

日本軍が、中国で捕虜を使った人体実験を行っていたことは有名だが、アメリカ軍も大戦中、マスタードガスといった化学兵器の開発のために、人体実験を行っていた。
 ただし、アメリカ軍が利用したのは、自国の兵士である。
 これは、1993年に機密解除された資料によって明らかになった。

マスタードガスは直接触れた時のダメージもあるが、DNAレベルで損傷を与えるため、被験者は白血病、皮膚ガン、気管支炎などに長く苦しむことになる。

アメリカ軍は、人種的特性によって効果がことなる可能性を検討するため、白人、アフリカ系アメリカ人、プエルトリコ人、といった人種ごとに分けて実験を行っていた。
 日本軍への効果を確かめる必要から、そのなかには日系人も含まれていた。

スーザン・マツモトの夫、トム・マツモトは2004年に亡くなったが、そういった被験者の一人であった。
 スーザンによれば、トムは被験者になったことを「よきアメリカ市民であることを証明できた」として受け入れていたという。
 スーザンは、彼女の家にFBIが押しかけてきて、「アメリカ合衆国への忠誠心を証明するため」日本語の本を焼かせた時のことをよく覚えている。
 彼の夫の家族も同様の目にあってきたが、それでも夫はアメリカを愛していた、なぜなら「こんなに自由であれる場所を他に見つけることはできない」からだ、と語っていた、という。

[Resource]
Secret World War II Chemical Experiments Tested Troops By Race